「女子小学生も飲む」 マック、3年ぶりコーヒー刷新の背景にある「カフェ需要」:マックが掲げる「本気カフェ宣言」
マクドナルドが「プレミアムローストコーヒー」を全面リニューアルした。コロナ後回復しつつあるカフェ市場で、存在感を強める狙いだ。「本気カフェ宣言」掲げる、マクドナルドの戦略ビジョンについて聞いた。
日本マクドナルドが、「プレミアムローストコーヒー」(ホット)を3年ぶりに全面リニューアルした。1月16日から全店舗で提供する。カフェメニューを提供するカフェブランド“McCafe”(マックカフェ)について、「本気カフェ宣言」を掲げ、カフェ需要を取り込む。同社では「プレミアムローストコーヒー」(ホット)Sサイズを100円で提供していたが、リニューアルにあたり120円(一部店舗では異なる)に値上げする。
豆選びの見直し、「コーヒードリッパー」の形状変更、飲み口のサイズ変更と、コーヒーのクオリティーを見直した。このような多面的なリニューアルは100人規模のプロジェクトメンバーを要し、「マクドナルド史上最も手間をかけた」と同社は意気込む。
リニューアルの背景には日本国内のカフェ市場の活況にある。コロナ禍で落ち込んだ喫茶店市場はいま、復調傾向に向かっている。日本フードサービス協会の資料によると、喫茶店業態の直近1年(2021年10月〜22年10月)の売上金額の前年比伸び率は高く、外食産業全体の伸び率を上回る月が多い。全日本コーヒー協会は22年を「レトロブームを反映し、喫茶店が脚光を浴び、若年層を取り込んだ」と分析する。
こうした市場動向の中で、マクドナルドは着実にカフェ市場で存在感を強めていた。外食コーヒー市場は、カフェチェーンやコンビニ、ファミリーレストランなど、有力な競合がひしめく。その競争の中にあっても、マクドナルドはカフェとして広く利用されていると同社は分析する。また「カフェのブランド浸透度調査」でもマクドナルドは94.1%と首位を獲得している。
マクドナルドが掲げる「本気カフェ宣言」は、「毎日・誰でも・自由に」楽しめることを目指した“McCafe”のさらなる進化を目指す戦略だ。これまでのマクドナルドのコーヒーにあった手軽さや身近さといった強みはそのままに、コーヒーへのこだわりをさらに追求するとともに、食事と一緒に楽しめる自由さを備えた「マクドナルド独自のカフェブランド」醸成を目指す。
マクドナルドのイメージとして、「一人でも子連れでも」「手頃」といったイメージがあると同社は認識している。マーケティングを担当する亀井理華部長は、マクドナルドのカフェ利用のシーンを象徴するエピソードとして次のように語った。
「マクドナルドのコーヒーのメインの想定ターゲットはビジネスマンです。ですが、ある日『McCafe by Barista』(専任バリスタが本格的なコーヒーを提供するコーナー)に足を運んだ時、小学生の女の子3人組が店内で仲良く”お茶”しているのを見ました。一人はマカロンを、ほかの子はてりやきマックバーガーを手に談笑しています。この気軽さ、誰にでも入りやすい安心感のあるカフェの在り方こそ、マクドナルドならではの提供価値を象徴していると思います」
マクドナルドは先日、16日から商品全体の約8割の価格を改定すると発表した。ハンバーガーは150円から170円になる。物価高の影響で消費の落ち込みが懸念される中での値上げだが、リニューアルしたコーヒーで客足を引き止めたいところだ。
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