ボンカレーが急に“世界一”をうたい始めた、たった1つの理由:スピン経済の歩き方(1/5 ページ)
大塚食品の「ボンカレー」がギネス世界記録に認定された。レトルトカレーブランドとして「世界最長寿」であることが認定されたわけだが、なぜこのタイミングで“世界一”をうたい始めたのか。背景にあるのは……。
「ボンカレー」が「世界最長寿のレトルトカレーブランド」としてギネス世界記録に認定された。(関連記事)
……というニュースを聞いてモヤモヤしている人も多いのではないか。実は「レトルトカレー」というのは、世界的にそこまでメジャーな食べ物ではない。最近は海外でも「日式カレー」が注目を集めているので、中国、台湾、韓国、東南アジアなど一部の国でファンは増えているものの、欧米豪やアフリカなどでは知らない人のほうが圧倒的に多い。
もっと言ってしまえば、「レトルト食品」自体がビミョーだ。中小企業基盤整備機構が運営する「J-NET21」内の「よくわかる レトルト食品の基本」の中にもこうある。
『欧州では、以前から缶詰や冷凍食品などが多く消費されており、その食習慣が消費者の間に根強く浸透していることから、レトルト食品の消費はあまり伸びていないのが現状といえます』
『米国でのレトルト食品の生産量は5万トン程度とみられています。これは缶詰生産量の1%程度にすぎず、市場規模はあまり大きくありません』
例えば、「カップ麺」は世界中で売られており、日清の「カップヌードル」も世界100カ国で販売されている。そういうカテゴリーならば、「世界一の長寿ブランド」をうたうのは理解できる。が、レトルトカレーはそういう位置付けではない。
大塚食品は2003年から中国でレトルトカレーを販売しているが、「ボンカレーの国際ブランド化に挑戦する」として2カ国目のインドへ進出したのも18年とつい最近だ。これで「世界」を語るには違和感しかない。
「日本企業の素晴らしい偉業にケチをつけるのなら、この国からでていけ!」という感じで、激昂する人もいらっしゃるかもしれないが、ボンカレーや大塚食品を批判するようなつもりは毛頭ない。ただ、「なんでこのタイミングに、こんなことを言い出したのだろう」と疑問に感じるだけだ。
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