44年前に生まれた「渋谷の店」が閉店 当時のファーストキッチンはどんな店だったのか:週末に「へえ」な話(2/3 ページ)
ウェンディーズ・ファーストキッチンの渋谷センター街店が幕を閉じる。1978年にオープンしたこの店は、なぜ閉店するのか。当時、どのような店だったのかというと……。
「ミネストローネ」も人気メニューに
もう1つは「ミネストローネ」である。具がたくさん入っているイタリア発の野菜スープを、一度は口にしたことがある人も多いはずだが、昔は違う。食べことがなければ、目にしたことも、耳にしたこともない人がたくさんいた。
というわけで、ベーコンエッグバーガーと同じように、スタッフからは「うーん、これはさすがに厳しいのでは」という声が目立った。しかし、こちらの商品もヒット。物珍しさもあってか、多くの人が注文することに。
ミネストローネなのでスープ皿か専用のカップで提供していたのかと思いきや、紙コップに注いで「はい、どうぞ」と手渡していた。受け取った客は、紙コップを片手に持って、ゴクゴクゴクと飲む。そうしたスタイルが「オシャレかも」と受け入れられたようで、あっという間に人気に火がついた。当時、店の看板に「ミネストローネ」と書かれていたので、まさに“看板商品”に成長したのだ。
しかし、その後、嗜好(しこう)の変化などによって、看板からその名は消えた。期間限定メニューとして販売することもあったが、ここ数年は扱っていない。
現在の店舗は、1階と地下1階に席を設けていて、合わせて105席ある。オープン当初は1階しかなく、厨房のスペースが広かったこともあって、椅子はなし。いわゆる“立食スタイル”で運営していたのだ。といったこともあって、お客の回転率は高く、「どんどん入れ替わっていました。店の前でチラシを配っても、すぐになくなっていましたので」(同社の広報)
その一方で、悩みもあったそうで。お客がたくさん来てくれるのはうれしい、若い人たちが楽しんでくれてありがたい。しかし、店の前で座り込む人も増え始め、やや風紀が乱れたことも。大きなトラブルに発展してはいけないと考えた店側は、どのような手を打ったのだろうか。
「水」である。夏の暑い日だけでなく、春であろうが秋であろうが、寒い冬の日であろうが、店の前で水をまいていたそうで。そうすることによって、座らせないようにしていたのだ。実は、この手法、ファーストキッチンだけがしていたわけではなく、コンビニなどの店の前でもよくやっていること。というわけで、他人の迷惑になるので、座り込みは控えたほうがよさそうだ。
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