タバコやスマホ時間、 グレーな私的行為は賃金控除の対象になるのか? 取り扱いと対応を解説:休憩か? 労働時間か?(5/5 ページ)
タバコ休憩やメーク直し、スマホ休憩といったグレーな私的行為は、果たして労働時間なのか、休憩時間なのか。法的な観点から解説します。
私的行為が多い従業員にどう対処する?
あまりにも私的行為が多い従業員がいた場合はどうすればいいのでしょうか。その従業員は集中して業務に取り組めていないために、業務の効率は下がっていると考えられます。また、その従業員のパフォーマンスが良くて業務の成果が出ているとしても、私的行為が目立つことで周囲の人のモチベーションを下げ、結果的に会社全体の生産性を落としている可能性が十分にあるため、放置しない方がいいでしょう。
職場環境や働き方によって状況は異なりますが、コミュニケーションを取って就業時間とは何かを認識させることが必要です。法律上、就業時間中は職務専念義務と誠実勤務義務があり、私的行為は認められていないことを説明しましょう。
ただ、全てを禁止にしてしまうと本人にとって働きづらい環境にしてしまうので、初めのうちは自重してもらうように促す程度がいいでしょう。その行為が習慣化している場合には、理解してもらうまでに繰り返し説明しなければならないので、時間がかかることもあります。改善が見られなければ懲戒の対象になる、という点を伝えてもいいかもしれません。
また、私的行為に対して明確な基準を作り、ルール化するという方法もあります。これは日々対面でコミュニケーションを取ることが難しい業種にも有効かと思います。例えば、業務時間中のタバコを吸いにいく回数は一日3回までとする、たばこを吸わない人には一定の手当を支給する、通常の休憩時間とは別に休憩時間を付与する、などです。
このようなルールを作るうえで最も大切なことは公平性です。どこまでの私的行為を線引きするのか、そのルールが本当に不公平感を生まないように設定できているのかなど難しい部分もあります。時代の変化に伴い、私的行為自体も変わるため、いたちごっこにもなりますが、職場の現状を把握しながらルールを見直していくことも大切でしょう。
価値観が異なる全従業員が不平不満なく、成果を上げながら働くのは難しいことです。ただ、私的行為や不平不満を放置せず、お互いに妥協点を探って減らしていくことは可能です。職場の現状を適切に把握し、あなたの会社にあった有効な手段を真剣に考え、選択していくことが最善の道と言えるでしょう。
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