「お前じゃ話にならない! 上司を出せ!」が激減 ニチバンは「お客様相談室」をどう改革したのか:データベースを構築(2/4 ページ)
セロテープをはじめ、幅広い商品を扱っているニチバン。同社のお客様相談室はかつてベテランの“職人技”に支えられていた。対応品質を改善するため、どういった改革を進めたのか。
職人技が必要な職場
木村氏が5年前に相談室に着任した当初、相談室を支えていたのは知識が豊富なベテランの“職人技”だったという。例えば、机の大引き出しには過去のカタログが約80冊(商品カタログ4種×20年分)並んでおり、問い合わせのたびに該当する商品を探していた。
カタログには「セロテープの厚みは●ミリ」「●●テープの耐熱温度」といった、カタログに載っていないような手書きの情報も記されていた。10年以上前の製品に関する問い合わせなどが多かったことも背景にある。各自がカタログにメモした内容をExcelにまとめて保存したが、検索しにくかったことからあまり活用されなかったという。
そのため、この部署に着任した新しいメンバーは、ベテランに聞きながら仕事を習得していくのが一般的だった。「背中を見て覚えろ」という要素が強く、新メンバーが顧客対応に苦慮するシーンも多かったという。さまざまな情報を共有する体制をつくる必要性があると判断した木村氏は改革を進めていくことになる。
具体的には、これまでのカタログ情報、FAQ、製品パッケージ画像などを登録している総合的なデータベースである「ナレッジベース」の構築をスタート。20年から運用を開始した。
まず、過去30年分の製品総合カタログをPDF化した。PDFにはナレッジベースで検索できるように透明な文字を埋め込んだという。
各自がカタログにメモしていた情報はFAQとして登録した。登録件数は1000件を超えた。検索サイトのように利用するイメージで、新メンバーでも自分で必要な情報を探し、問い合わせに回答できるようになった。登録する際には、正しい情報かどうか関連部署に問い合わせ、確認をとるようにした。さまざまな点で検索をしやすくして、利便性も向上させた。こうした改革を進めた結果、質問に対する回答内容が統一され、全員が全ての商品に対応可能になった。
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