「お前じゃ話にならない! 上司を出せ!」が激減 ニチバンは「お客様相談室」をどう改革したのか:データベースを構築(4/4 ページ)
セロテープをはじめ、幅広い商品を扱っているニチバン。同社のお客様相談室はかつてベテランの“職人技”に支えられていた。対応品質を改善するため、どういった改革を進めたのか。
Web上で工場見学
顧客からの質問に自信を持って回答できるようにするためには、生産現場を知ることが必要だと木村氏は説明する。しかし、コロナ禍の影響で工場に実際に足を運ぶのが難しくなった。
そこで、工場の様子を動画で撮影し、Web工場見学会ができるようにした。見学用に作成された資料も動画とあわせて保存。新メンバーの勉強用資料としても活用できる。
例えば、同社の製品に両面テープ「ナイスタック」があるが、顧客から「粘着テープ部分が上になっていて逆に巻かれている、はく離紙しか出てこない」という質問が相次いだ。担当者は生産上の問題があるのかもしれないと不安な気持ちを抱いていた。そんなとき、工場見学をしたことで逆転した状態で生産することはできないことを理解。その後、顧客の問い合わせに自信を持って対応することができるようになった。また、逆転した状態からどのようにしてなおすかということを公式Webサイトに掲載することで、顧客に説明しやすくなったという。
製品改善に活用
顧客の声を新製品開発や製品の改善に活用するケースにはどのようなものがあるのか。例えば、足にできた魚の目やタコに貼り付ける医療用医薬品である「スピール膏M」がある。同製品には「病院用」とパッケージに表示されたものと、表示されていないものがあった。その状態が何十年と続いていたが、ある日「スピール膏には病院用と表示されているが、調剤薬局でも取り扱えるか?」という質問が寄せられた。医薬分業が進む前の名残であり、調剤薬局で取り扱うことには何も問題はないことから、「病院用」の表示をなくした。
ニチバンのお客様相談室改革プロジェクトの背景にはこうした地道な改善活動があったのである。
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