シロカの「全自動コーヒーメーカー」はなぜ売れているのか 背景に2つの理由:水曜日に「へえ」な話(2/4 ページ)
シロカの「全自動コーヒーメーカー」が人気を集めている。商品名は「カフェばこPRO」。売れている秘密を取材したところ……。
「均一に豆を挽く」ために
さて、前置きが長くなってしまったが、ここからが本題である。コンビニコーヒーの普及を受けて、家庭用のコーヒーメーカーにも異変が起きたのだ。コンビニコーヒーと同じような全自動コーヒーメーカーが各社から登場していて、家電量販店に足を運ぶと、さまざまな製品がズラリと並んでいる。
群雄割拠ともいえる状況の中で、個人的に気になっているモノがある。シロカの「カフェばこPRO SC-C251」(以下、カフェばこPRO 実勢価格2万9700円)だ。22年10月に発売するにあたって、予約を受け付けたところ「オレもオレも」「ワタシもワタシも」といった感じで、想定以上の注文が入ったとのこと。実数は教えてもらえなかったが、「シロカの全製品の中で、トップレベルの予約数がありました」(経営企画室・ひばり野拓人さん)という。
発売後も好調さは続いているようで、一時は「出荷待ち」の状況に。これまでのところ、想定の2倍ほどのペースで売れてるという。
それにしても、なぜカフェばこPROは人気を集めているのだろうか。歴史をちょっとさかのぼると、シロカは同製品の前身ともいえるモノを販売している。「この製品を使えば『挽く、蒸らす、淹れる』が簡単にできますよー」といったことをウリにしていたわけだが、利用者からはこんな声が届いた。「〇〇の機能を付けてよ」「〇〇は使いにくいかな」など。このような指摘を受けて、シロカは改善することを決意。こうして生まれたのが、カフェばこPROである。
大きな変更点は2つ。1つは、豆の「おいしさ」を引き出すために、ミル(カフェばこPROは「コーン式」を採用)の刃の角度や形状を改善した。製品を開発するにあたって担当者は、らせん形状の角度と刃全体の形状を見直して、豆をより噛(か)みこみやすくした。そうすることで、「浅煎り豆から深煎り前まで、より均一に挽けるようになりました」(開発担当の菅原充さん)という。
構造の詳しい話は割愛するが、技術的に「均一に挽く」ことは難しい。そこで、開発メンバーは2つのことにチカラを入れた。1つは刃の角度をどのくらいにすればいいのか、もう1つは螺旋状の2枚の刃をどのくらいの距離にすればいいのか。少しずつ少しずつ調整して、均一に挽けているかをチェックしていったのだ。
「均一に近づいてきたかな」と思ったところで、試飲。「もっとおいしくできるのではないか」と感じれば、再び調整して試飲。この作業を何度も何度も繰り返して、ようやくたどりついたのがいまの角度と隙間である。
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