なぜ、これほど「リスキリング」が必要とされているのか 専門家が解説:DX時代に必要なのは?(1/2 ページ)
「リスキリング」への注目が集まっている。その背景には何があるのか。「はたらくAI&DX研究所」の所長である石原直子氏が解説する。
Zホールディングスは1月27日、「『リスキリング』の潮流と事例」に関する説明会を実施した。本記事では、人事領域の専門家であり、デジタル変革に必要なリスキリングの研究に注力する石原直子氏の講演内容を要約して紹介する。石原氏は、社会課題解決に向けたAIプロダクトなどを提供するエクサウィザーズ(東京都港区)が運営する「はたらくAI&DX研究所」の所長である。
DX時代における2つのインパクト
さまざまな分野でDXが急速に進んでいる。そして、顧客の不満や社会的な課題をこれまでにない形でDXが解決してくれるのではないかという期待も高まっている。
まず、DXの時代における第1のインパクト「顧客の課題、世界の社会課題をこれまでにない形で解決する」について説明していく。
例えば、店舗で働く人が不足しているという課題がある。企業が応募をしていても人がなかなか集まらない。そんな中、米アマゾンは、「Amazon Go(アマゾンゴー)」という無人店舗の運営を開始した。
見た目は普通の店舗だが、天井にはカメラとかセンサーがたくさんついている。顧客は専用のアプリをゲートにかざして入店し、商品をかごにいれていくのだが、レジで決済する必要はない。無数のカメラとセンサーで「商品を取る」「棚に戻す」ということを認識している。店を出てしばらくすると、アプリに「あなたが買った商品は●●です」という通知がくる。
一方、日本のあるコンビニで「レジロボ」というシステムの実証実験が過去に行われた。専用カゴ(バーコードスキャンつき)を利用し、レジロボにカゴを置くと自動で会計が済み、袋詰めもしてくれるというものだ。
この2つの事例を、「どちらが顧客体験を変えているか」という軸で分析する。もしかしたら、レジロボのほうにはより高度なテクノロジーが使われているかもしれない。しかし、アマゾンゴーのほうが「へ〜こんなことができるんだ」「こんなに便利・簡単になったんだ」といった驚きを顧客に与える可能性がある。DXの時代における価値とは何かということについて、考えさせる事例だろう。
DXの時代における第2のインパクトは、「思っていないところから現れたプレイヤーがゲームのルールを塗り替える世界」だ。例えば、「リアル書店とAmazon」「既存の旅館とAirbnb」「タクシー業界とUber」といった具体例が挙げられる。既存のあるタクシー会社にとってのライバルは、別のタクシー会社やバス会社だと考えられていたが、全く違うところから脅威となる存在が出てきた。このように、どの企業・業界にとっても、ゲームチェンジを引き起こす「エックスデー」は他人ごとではない。
このように、価値を生むためにも、危機を制するためにも、デジタルの知識が求められている。
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