スシロー、はま寿司、資さんうどん――飲食チェーンを脅かす迷惑行為はなぜ続発するのか:企業にできる対策は(2/3 ページ)
大手回転寿司チェーンに端を発した利用客の迷惑行為は、うどんチェーンの他さまざまな飲食企業でも明るみに出ており、飲食業界全体の問題へと発展している。飲食チェーンを脅かす迷惑行為はなぜ続発するのか。
SNSで発信すれば当然、内輪どころではなく衆目に晒(さら)される。北折教授は、迷惑行為を行い、SNSに投稿する人の心理について、「社会の広さを想定しきれていない」と指摘する。
「例えば、500の3乗という計算式を思い浮かべてほしい。500人の人間がそれぞれ別の500人に繋(つな)がっていて、またその500人がさらに別の500人に繋がっている。500の3乗は1億2500万だから日本の人口とほぼ同じ。実は社会のネットワークというのは、われわれの想像以上に狭い」
社会は案外狭いという認識やSNSの影響力をつかみ切れていないことが、悪ふざけの行為に出る最大の原因ではないかと北折教授は話す。
迷惑行為を防ぐ有効な対策は?
こうした迷惑行為を防ぐ有効な手立てはあるのだろうか。北折教授は、社会やシステムが便利になればなるほど「悪用する人物は必ず現れる」と指摘する。
「かつて大学のゼミで、ドラえもんの『どこでもドア』があればどう使うか議論したことがある。最初は『授業に遅刻しなくなる』などの意見が出たが、次第に『ディズニーランドに(入場料を払わず)入る』などといった意見が挙がった。悪用する人は必ず便利さの間隙を突いてくる」
回転寿司チェーンの一連の迷惑行為も、オペレーションを簡略化し、人員を減らす「機械化」「省人化」が監視の目をなくし、不正が起きやすくなったと分析する識者もいる。
一方で、工夫次第で迷惑行為を思いとどまらせる手立てはありそうだ。その1つとして、羞恥心を喚起させる方法を北折教授は挙げる。福岡県警が暴走族を「珍走団」(ちんそうだん)と命名し、暴走族が「カッコよくない」ものであることをアピールした事例がある。他にも「インスタ映え」の写真を撮ろうと必死になるあまり、周囲への配慮が行き届かない撮影者を「インスタ蝿」と表現するのも同様だ。
いずれの事例も侮蔑的なニュアンスを含んだ命名で、自発的な抑止効果を期待するものだ。飲食店における迷惑行為にもこうした名称を付けることで、抑止力に繋げることはできそうだ。
今回、利用客の迷惑行為が発覚した飲食企業の多くが「厳正に対処する」などと強いメッセージを発信した。
「迷惑行為を行うごく一部を放置すれば、客全体が寄り付かなくなる。割れ窓をそのままにしておくと落書きに発展し、街全体の治安が悪くなる『割れ窓理論』と同じで、トラブルに毅然と対処することで迷惑行為がエスカレートすることを防ぐという意味では、合理的かつ正しい対応」だと北折教授は話す。
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