劇場内のスマホ操作を注意→「何が悪いのか分からない」 福岡・博多座が検証動画をつくった背景:鑑賞価値を守るため(1/3 ページ)
小さな光でも暗い客席ではとても気になります――。福岡市の劇場「博多座」が、暗い劇場内でスマートデバイスを操作した際に、どれだけ光が目立つのか検証する動画を作成し、話題を呼んでいる。コロナ禍を経て劇場への客足が徐々に戻りつつある中、観劇に快適な空間を作ることで、来場客の満足度を高めたいとの狙いがあるという。
小さな光でも暗い客席ではとても気になります――。福岡市の劇場「博多座」が、暗い劇場内でスマートデバイスを操作した際に、どれだけ光が目立つのか検証する動画を作成し、話題を呼んでいる。コロナ禍を経て劇場への客足が徐々に戻りつつある中、観劇に快適な空間を作ることで、来場客の満足度を高めたいとの狙いがあるという。
「スマートフォンや、とりわけスマートウォッチの光が気になるというクレームがここ半年、目立つようになりました」
博多座宣伝グループの担当者は、作成の経緯をこう話す。
観たいのはスマホの光ではなく「推し」の光
作成したのは「博多座検証シリーズ」と題した45秒の動画。スタッフらが暗い客席でスマートデバイスが光る様子を実際に撮影した。
画面の大きいスマホの光は「シンプルに目立つ」。スマートウォッチの光も「それなりに目立つ」。動画では、小さな光でも客席ではとても気になるため、電源オフや、光や音が出ない設定にするよう呼び掛ける。最後は「観たいのは『推し』という光」というフレーズで締め、スマホの光ではなく、自身が応援する俳優など「推し」の活躍こそ、「観たい光」だと例えている。
「スマホを操作するお客さまに注意をしても『何を注意されているのか分からない』と困惑する方もおり、スタッフも非常に困っていました。そこで、実際に検証動画を作成し周知しようと考えました」(担当者)
スマートウォッチには血圧測定機能が付いたものも多く、常時装着し、無意識に光を発してしまう来場客が多いという。担当者は「シアターモード」などに設定することで、画面の点灯を防ぐように呼び掛ける。
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