「外食テロで店がガラガラ」問題 スシローが訴えても“解決”できないワケ:スピン経済の歩き方(5/6 ページ)
「外食テロ」の報道を受けて、ネット上では悲鳴と怒りが入り混じった声があふれている。「犯人に高額賠償を請求しろ!」といった意見も出ているが、そんなことをしてこの問題を解決できるのだろうか。
マスコミが積み上げてきた「トレンド」
覚えている方も多いだろうが、マクドナルドの全国の店舗で相次いで、チキンナゲットなどの商品に、ビニール片や人の歯などの異物混入が発覚した騒動である。といっても、正確に言えばこれは「続発」したわけではなく、ワイドショーやらがあまりに大騒ぎをするので、全国のマック利用者が「そういえば私もあったなあ」という感じで次々と情報提供をしたのだ。これまでは店員にクレームを入れて、謝罪を受けて終わっていた事案が、マスコミ報道で掘り起こされたというわけだ。
こういうブームになると数字が稼げるので、マスコミはさらにハッスルする。マクドナルド本社に「なぜ会見を開かないのだ」と詰め寄って、発覚2日後に役員による「謝罪会見」を開かせたが、そこでは「やれ態度が悪い」「なぜ社長は出てこないのか」とボコボコに叩いて、マックの株価もガクンと落ち込んだのはご存じの通りだ。
ワイドショーではコメンテーターたちが渋い顔をして、「もうマックは利用できない」「こういう問題を解決しない限り食の信頼回復はできない」なんてプリプリ怒っていたが、実は消費者への「実害」はごく小さなものだった。福島県郡山市の店舗でアイスクリームを食べたお客さんが、混入したプラスチック片で口の中を切ったくらいで、腹を壊したとか、嘔吐したという、命に関わるような健康被害はなかったのである。
そこで気になるのは、なぜはるか以前から日常茶飯事で令和の時代もSNSでスルーされている異物混入が、8年前の日本では、マスコミが連日連夜お祭り騒ぎをする「極悪非道な不祥事」にレベルアップしてしまったのかということだ。
これにはいろいろな意見があるだろうが、筆者は当時のマスコミが報道で積み上げてきた「トレンド」が影響していると思っている。この問題が発覚する前、マックに対してはこんなトレンドがあった。
- マックは当時、前年に中国産ナゲットが不衛生な工場で加工されたり、使用期限切れの肉を使っていたりという問題がすでにあった
- マックの異物混入が発覚する前、ペヤングの焼きそばにゴキブリが混入していた事件が世間で注目を集めるなど、異物混入ニュースが視聴率を獲得するというトレンドがあった
- 米国のブランドで、グローバル企業なので、国内企業よりも叩きやすい
- 過去には「ミミズバーガー」が都市伝説になるなど、品質に懐疑的な人が多い
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