日本の外食文化は「迷惑動画」で破壊されてしまうのか? スシローとくら寿司で見かけた心強い光景:長浜淳之介のトレンドアンテナ(2/6 ページ)
外食チェーンで相次ぐ「迷惑動画」。各企業は対応に追われている。日本の外食文化にどういった影響を与えるのか。
スシローでの迷惑行為
スシローぺろぺろ事件の動画は、1月29日に投稿されたとみられる。
迷惑行為をしたのは金髪の若い男性だが、撮影者は別にいて、「きもっ」などと言葉を発しながら、楽しんでいるような雰囲気だった。「しょうゆ差しをなめる」「湯呑をなめてもとに戻す」「レーンを流れているすしを唾液の付いた指でつつく」という不衛生極まりないことが連続で行われており、他の迷惑動画と比べても衝撃度が格段に大きかった。
撮影が行われたのは、岐阜正木店(岐阜市)と判明。さらに、迷惑行為を行ったのは市内の高校生であったことが分かっている。
同店を運営するあきんどスシローでは、1月30日に刑事・民事の両面から厳正に対処すると表明。1月31日、警察に被害届を提出。2月1日に、少年と保護者から謝罪を受けたものの、態度は変えなかった。
「分別が付かない未成年なのだから、ゲンコツで殴って許してやれ」といった意見もあるが、今は逆に暴力行為となって告訴されかねない。当時は株価も暴落しており、不問にすれば株主に対しても説明ができない。類似の事件を予防する意味でも、適切な判断だった。
ただし、迷惑行為をした当人の本名、通っている高校もSNSで特定され、批判が殺到。退学を余儀なくされたという。いたずらがいくら悪質とはいえ、法廷で裁かれる前に私刑はよろしくない。私刑は人権侵害である。
同社は2月10日、既に発覚している一連の事象に関係する人たちへの、直接的な危害となる言動を控えるように呼びかけた。
岐阜県警は、少年らを偽計業務妨害で書類送検する方針と報じられている。
一方、スシローは対策として、1月30日の営業前に対象店舗の全ての湯呑を洗浄。しょうゆボトルの入替えを行った。
また、全店を対象に、備え付けの食器や調味料に不安を感じる利用客がいた場合、別途保管してある消毒済みのものに交換。対象店と近隣店舗は、食器や調味料の設置場を設け、入店時にテーブルまでセルフで運ぶ形式に変更した。
さらに、対象店と近隣店舗だけでなく、全国の郊外型店舗において、テーブル席と提供レーンの間に順次、アクリル板を設置していくとのことだ。
タッチパネルで注文した商品のみが、レーンに流れるオペレーションに変更。回転レーンと注文レーンの2段レーンになっている店では、回転レーンにすしを流すことを中止した。
また、2月6日頃には、女性客がテーブルに備えつけられた甘ダレにしょうゆを注入して、勝手にブレンドしている動画が拡散された。
この件に関しても、同社では警察に相談済みで、厳正に対処していく姿勢だ。
スシローでは2月13〜17日、励ましの声や応援の気持ちで来店した人たちへの感謝を込めて、全品10%オフのセールを行った。盛況のうちに終了した模様。
一部テークアウト品などに適用されないシステム上のミスはあったが、返金とクーポン配布で対応済みだ。
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