2015年7月27日以前の記事
検索
Special

FinBASEが描く「金融デジタルプラットフォーム」がある世界 共創が生み出す企業成長と地域活性化とは?

PC用表示
Share
Tweet
LINE
Hatena
PR

 デジタルシフトの加速によって、ビジネスの在り方も変化を続けている。企業は業務効率化を促し生産性向上を図ること、そして社内外と連携してイノベーションを起こすことが重要になってきた。こういった進化を遂げるためにも、DX――ITの利活用はもはや必須だ。

 しかし、日本企業のデジタル競争力は世界的に見ても低い。労働力不足が深刻化する中で、DXを推進していくデジタル人材が不足していることも大きな要因だが、それ以前に、ビジネスに生きる革新的なテクノロジーを有する企業と、それを利用する企業のリレーションが希薄だ。

 そのような中で2022年4月、りそなホールディングス(以下、りそなHD)、NTTデータ、日本アイ・ビー・エムが「金融デジタルプラットフォーム」の提供を主事業とする合弁会社「FinBASE(フィンベース)」を設立した。同社はデジタルシフトやデータ利活用を目指す企業と、それらに資する機能、サービスを持つ企業を金融デジタルプラットフォーム上でつなげ、「地域経済の活性化ならびにサステナブルな社会の実現に貢献する」としている。同社代表の大田大二郎氏に、FinBASE設立の背景、金融デジタルプラットフォームが生み出す価値と、目指す未来について話を聞いた。

銀行ビジネスは「変革の歩みが遅い」? 業界の壁を超えた連携の重要性

 今は「VUCA」(Volatility:変動性、Uncertainty:不確実性、Complexity:複雑性、Ambiguity:曖昧性)とも呼ばれるように、さまざまな価値が大きく変わっている変貌の時代。金融業界にも大きな変化が訪れている。フィンテック企業が台頭し、まったくの異業種プレイヤーが金融業界へ参入してきたことで「銀行のバンキング業務が浸食されているという危機感がある」と大田氏はいう。

photo
FinBASE 代表取締役 兼 りそなホールディングス りそな銀行 DX企画部 グループリーダーを務める、大田大二郎氏

 一方、顧客の価値観は、従来のモノ消費から体験を重視するコト消費へと変わっている。そうした顧客から見ると、銀行サービスは「堅い」「固定概念に縛られている」と見なされる。いってしまえば、代り映えしない「変革の歩みが遅い業界」と思われがちだ。

 もちろん銀行は、顧客の嗜好の変化にもっと機敏に対応しなくてはいけないという課題を認識している。こうした変化に対応するために、特に地域金融機関は「従来からある業界の壁を超えた連携を求めている」というのが同氏の見解だ。そこでりそなHDが打ち出しているのが、前述した金融デジタルプラットフォームである。

 金融デジタルプラットフォームは、自社で持っていない(開発が難しい)機能やサービスを使いたい「利用企業」と、それら技術を有する「機能提供企業」をつなぐハブのような存在。利用企業――例えば地域金融機関や一般事業法人、地方自治体は、リソースやコストを最小限に抑えて多様な機能やサービスを使えるようになる。一方で機能提供企業は、今までリーチできなかった幅広い企業へ自社機能やサービスを届けられるようになる。

 つまり、金融デジタルプラットフォームは利用企業と機能提供企業、両社のビジネス拡大に貢献するものであり、その価値を広める役割を担う存在として誕生したのがFinBASEだ。

photo
23年4月で設立1周年を迎える、FinBASEのオフィスにて。同社にはバンキング業務、DXに精通したメンバーが集う

金融に関わる多彩な機能、サービスを用意・拡充

 金融デジタルプラットフォームというと、1つのプラットフォームがサーバ内に構築され、そこから機能やサービスを選ぶというような印象を持つ人も多いかもしれない。しかしFinBASEが広めようとしている金融デジタルプラットフォームは、さまざまな企業の多様な機能基盤が連なるような形で構成されている、オープンイノベーションを実現するための世界観そのものだ。

優れた機能基盤を横展開 金融デジタルプラットフォーム活用の具体例

 分かりやすい例を挙げると、プラットフォームにラインアップされている機能基盤の一つにりそな銀行が提供するバンキングアプリ「りそなグループアプリ」がある。地域金融機関は、金融デジタルプラットフォームを利用することで、優れたりそなグループアプリの機能基盤を用いて自分たちのバンキングアプリを開発、顧客に提供できるようになる。

 実際に、常陽銀行や足利銀行を傘下に持つめぶきフィナンシャルグループと百十四銀行はりそなグループアプリ基盤の提供を受け、「常陽バンキングアプリ」「足利銀行アプリ」「114バンキングアプリ」をリリースした。りそなグループアプリのUI/UXを生かした形で、各行向けにカスタマイズしたバンキングアプリ提供により、顧客体験の向上を果たしている。これはまさに、金融デジタルプラットフォームが実現したオープンイノベーションの良例だ。

 ほかにも、りそな銀行の全支店に設置しているタブレットのシステム、資産運用のファンドラップ、さまざまなキャッシュレス決済にマルチに対応できる法人向けの「りそなキャッシュレス・プラットフォーム」など、金融デジタルプラットフォームには「決済連携」「資産運用」「データビジネス」「本人認証」「サービス連携」といった機能別に多様なラインアップがされている。

photo
FinBASEが描く、金融デジタルプラットフォームの世界観

 もちろん、提供する機能はりそなグループ発のものだけではない。利用企業や機能提供企業が増えていくことで、プラットフォームの規模は加速度的に拡大していく。それだけにポテンシャルは未知数だ。

 「りそなグループが提供しているサービスをホワイトラベル形式で提供するだけではなく、各機能の提供企業さまとタッグを組んで共創することも目的としています。素晴らしい技術を有する企業の“価値”を、われわれFinBASEがハブとなって利用企業に届けることは、両社のビジネス拡大だけではなく、サービスを利用するみなさまの生活を豊かにし、広く地域経済の活性化につながると確信しています」(大田氏)

銀行のデータ活用にも貢献 新たな顧客体験価値を目指して

 なおデータビジネスとしては、銀行が持っている口座の情報とアプリ利用のトランザクションデータなどを掛け合わせ、「顧客が何を求めているか」を可視化し、自社のサービスにフィードバックできるようにする。

 「今までの金融機関は、データ活用がほとんどできていませんでした。これまでは、お客さまからお預かりしている資産を基に最低限のセグメンテーションをしてアプローチをする程度にとどまっていたのです。しかし金融デジタルプラットフォームをご利用いただければ、蓄積できるデータ量が格段に増えます。それらを活用することで、より細かい区別、違った切り口でのセグメンテーションが実現し、お客さまのニーズを適切にキャッチアップしたり、個々に最適化したアプローチ手法を取ったりすることが可能となります」(大田氏)

 例えば、入出金の動きから顧客の好みなどを判別して、その顧客に合った金融商品を提案する、年齢によって表現の仕方を変えてアプローチする、といったこともできるようになる。その上で効果測定を行い、PDCAサイクルを回し、より効果のあるビジネスモデルを作り上げ、さらにノウハウとして積み上げていく。これもまた、金融デジタルプラットフォームが生み出すイノベーションの一つだろう。

異業種プレイヤーとの連携で、金融機関“外”企業のDXも加速

 ここまで紹介したのは、利用企業に金融機関を想定した例だ。一般事業法人向けの機能としては何があるのか。大田氏は「りそなHDでは、生体認証を活用した業界横断型のプラットフォームの実現に向けコンソーシアムを設立し、サービス連携の枠組みを協議しています」と話す。銀行業務にも本人認証は必須だが、「スタンダードな技術が確立されれば幅広い企業さまにご利用いただけるはずです」(大田氏)。

 現時点でラインアップされている機能群はりそなグループのものが多いが、FinBASEでは金融デジタルプラットフォームを介して利用できる機能やサービスの拡充を図っている。同社が目指すのは、業界の枠を超えたオープンイノベーション。今後は異業種プレイヤーとも協力しながら、業界にとらわれることなくプロダクトに応じて適切な業種の企業にアプローチを続けていく考えだ。

金融デジタルプラットフォームで目指す、「三方よし」のイノベーション

 金融デジタルプラットフォームを形作るのは「共創」である。大田氏は「自社だけではなく、共に創り上げていくオープンイノベーションが重要」だと強調する。本来、銀行も最先端の技術を使いながら機能やサービスをつくっていくべきだが、リソースや予算が限られる中で一社が自前でやるには難しい状況が続いている。技術は一朝一夕に身につけられるものでもない。外部の企業、異業種プレイヤーの知見を借りながら、一緒にサービスをつくり出す、顧客の体験価値を上げて競争力を強化する。その上で、各社をつなぐ金融デジタルプラットフォームは貴重な成長基盤となる。同じ課題を持つ企業が共創し、団結することはコストメリットにも大きく期待できるはずだ。

photo
金融デジタルプラットフォームについて、現在は地方金融機関がメインで利用しているが「今後は一般企業、さらには自治体のDX支援も加速していく」と話す大田氏

 「金融デジタルプラットフォームを共創基盤にすることで、コストメリットが生まれ、少ない労力で幅広いお客さまにサービスを広げていくことができます。金融デジタルプラットフォームは、ただ企業の利益を追求するためのものではありません。FinBASEのミッションは、地域に根ざしたサービス創出に貢献すること、金融×デジタル×地域によって持続可能な明るい社会をつくることにあります。利用企業、機能提供企業、そして地域住民のみなさま『三方よし』の世界を、金融デジタルプラットフォームの上に実現できれば。ぜひ今後の展開にご期待ください」(大田氏)


提供:FinBASE株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia ビジネスオンライン編集部/掲載内容有効期限:2023年3月20日

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

関連リンク

ページトップに戻る