「10年目なのに大手新卒の方が給与が高い」 春闘“歴史的な賃上げ”の裏であぶり出される「負け組企業」の特徴:古田拓也「今更聞けないお金とビジネス」(1/2 ページ)
2026年の賃上げ率は3年連続で5%超が視野に入ると報道されている。大手企業で進む歴史的な賃上げの裏で、中小企業は「勝ち組」と「負け組」で二極化しようとしている。
筆者プロフィール:古田拓也 株式会社X Capital 1級FP技能士
FP技能士センター正会員。中央大学卒業後、フィンテックスタートアップにて金融商品取引業者の設立や事業会社向けサービス構築を手がけたのち、広告DX会社を創業。サム・アルトマン氏創立のWorld財団における日本コミュニティスペシャリストを経てX Capital株式会社へ参画。
春闘の季節がやってきた。2026年の賃上げ率は3年連続で5%超が視野に入り、メディアでは「歴史的賃上げか」との見出しが目立つ。
大手企業でも初任給が40万円を超える例が出始めたり、日本ガイシが3月2日、過去最高の月額2万6600円の賃上げで満額回答に応じたり、華やかなニュースが並ぶ。
だが、この「賃上げラッシュ」を素直に喜べない企業群もある。それは赤字でありながら賃上げせざるを得ない中小企業だ。
給与を上げなければ人が辞め、給与を上げれば利益を圧迫する──。この“詰み”の構造が、日本経済の足元を弱らせる可能性がある。大手企業で進む歴史的な賃上げの裏で、中小企業は「勝ち組」と「負け組」で二極化しようとしている。
「10年目なのに大手新卒の方が給与が高い」 中小企業の苦悩
業績が伸び、原資が増えた分から給与を引き上げる。本来、賃上げは利益の還元だった。
しかし今、中小企業の現場で起きている賃上げには、そうでないものも多い。目先の賃上げがなければ先細りし、事業そのものが回らなくなる。この恐怖が停滞企業を賃上げへと駆り立てている。
日本商工会議所と東京商工会議所の調査によれば「業績の改善が見られないが賃上げ」、つまり防衛的な賃上げをした企業は60.1%に上るという。
2025年春闘では全体の賃上げ率が5.25%に達した一方、中小企業は4%台にとどまった。大手各社が初任給やボーナスを大幅に引き上げる中、中小企業の社員の中には「大手新卒の方が10年目の自分よりも給料が高い」といった状況が珍しくない。
さらに、転職サイトを開けば高待遇の求人が増加しており、あえて低い給与水準の企業に残る理由を見つけることが難しくなっている。
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