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搾りたての「牛乳」を、なぜ廃棄しなければいけないのか:過去最悪レベル(3/4 ページ)
国の生乳増産政策に協力した北海道の酪農家が、牛乳価格と子牛価格の暴落にあえいでいる。この政策を推し進めた政府・農水省、それを懇願した乳業メーカーは、この事態の収拾に責任がある。
そしてはっきり言って、農水省の施策は「見当違い」だ。乳牛の削減に補助金を出すのではなく、乳業メーカーや飲食チェーンにもっと多く引き取らせて、牛乳だけでなくチーズなどの乳製品を増産させたり、国内の飲食業に乳製品を多く使うメニュー開発を促したりする際に、補助金を出すべきなのだ。コロナ過が収束しつつある上に、卵や肉が高騰している折、国民の貴重なたんぱく源を確保できる策を考えるのが彼らの役目ではないか。
実は牛乳だけでなく、牛そのものの価値も暴落している。NHKの取材によると、昨年6月の時点で1頭約14万円で買い取られていた肉用の子牛の価格が、9月には5000円に暴落したそうだ。10月には、同じ牧場で家畜の流通業者に引きとってもらった子牛の場合、体重が軽かったこともあり、ついた値段はわずか1000円。種付けから出荷までかかった経費は約3万円なのに、だ。
なぜこんな事態になっているのか。牛が乳を出すためには継続的に子牛を産ませる必要がある。メスの子牛の多くは乳牛として育てられるのだが、オスや交雑種は肉牛として畜産農家に売られる。子牛の売却は酪農家の収入の柱の一つとなっている。
しかし先に触れたように、大量のエサを与えて牛を育てる畜産農家も飼料の高騰で経営が苦しく、子牛を買い控えるようになっている。飼料高騰と子牛価格の暴落が重なり、子牛を育てるビジネスが成り立たなくなっているのだ。
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