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搾りたての「牛乳」を、なぜ廃棄しなければいけないのか:過去最悪レベル(4/4 ページ)
国の生乳増産政策に協力した北海道の酪農家が、牛乳価格と子牛価格の暴落にあえいでいる。この政策を推し進めた政府・農水省、それを懇願した乳業メーカーは、この事態の収拾に責任がある。
昨年、経営を諦め離農したケースは北海道だけで200戸近くにのぼると見られる。意欲ある若い酪農家までも退場を迫られる事態に陥っているのだ。この辺りは、NHKの報道番組で詳細に伝えられていたが、せっかくの事業承継がとん挫してしまう様は観ているこちらも胸を痛めるものだった。
子牛を育てる国内の酪農家が大量に離農してしまえば、当然ながら近い将来には乳牛も肉牛も育成体制が不足して、牛乳および牛肉の国内への供給は細り、(海外ではさらにインフレが進んでおり、かつ長期的な円安の影響を考えると)牛乳と牛肉はもちろん、それらを原料とする製品全般の国内価格が将来的に高騰することは目に見えている。「高騰」だけで済まずに、安定的な食糧調達自体が危うくなる未来だって遠くない。
食の安全保障は最も重要なものの一つで、ただでさえ少ない国内での食糧生産を減らすような事態を放置することは愚かさの極みだ。国内の酪農産業が再び沈んでいく事態を見過ごさないため、乳業メーカー、小売業者、そして消費者は思い切った値上げを受け入れるべきだ。そして国はその解決への方向性を示すべきなのだ。 (日沖 博道)
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