「ジェンダーレス」商品は売れにくい!? ヨーカ堂役員の“ダメ出し”乗り越え開発した子ども用インナー:小学校で交流授業を実施(4/4 ページ)
子ども用のジェンダーレスなインナーをイトーヨーカドー92店舗とヨークベニマル37店舗で発売。開発会議では、ジェンダーレスというコンセプトに役員が難色を示したという。どういった経緯で発売までこぎつけたのか。
水泳用品やハンドタオルも
小学生との交流授業で得られた意見を反映した商品は他にもある。
「手がだせるすごふわラップタオル」(1969円〜)は、水泳の授業で利用するラップタオルを独自に改良した商品だ。ラップタオルは頭から被るだけというタイプのものが多いが、手を出せるようにしているのが特徴だ。ラップタオルを被ったまま校内を移動した際、転倒してけがをした子どもがいたことを受けて開発した。手が出せたほうが、大きなけがを防ぎやすい。
また、子どもが小学校で着用しているマスクを入れるためのポケットも付けている。水泳の授業中、透明なケースにマスクを入れる学校もあるが、風で飛ばされたり、誰のマスクなのか分からなくなったりしていることを受けての対応だ。
新しく黒色を出したのも初めての取り組みだ。開発担当者は「女の子でも、私が思った以上に黒を選ぶケースが多いことが分かったためです」と説明する。
「女の子でも黒を選ぶケースが想像以上に多い」という発見があったのは、「今治ハーフタオルハンカチ」(429円)も同様だ。主に、学校で手を洗った後に使うことを想定している商品で、紫、赤、黒、灰色などがある。柄も、しましま模様、チェック、リボン、星などを用意している。
学校の授業で、どういった色を好むか聞いたところ、女の子でも黒いチェック柄を選ぶケースが多かったという。同商品は22年3月から発売しているが、黒や灰色が特に支持されている。
ランドセル商戦では、子どもたちが性別に関係なく好きな色を選べるようにする傾向が強まっている。例えば、工房系ランドセルメーカー「土屋鞄製造所」(東京都足立区)では、ジェンダーレスランドセル「RECO(レコ)」シリーズの売れ行きが好調で、男の子でも赤を選ぶといったケースが増えているという。
ジェンダーレス対応商品について、同社は「子ども開発プロジェクトを通じて明確になった答え。ジェンダーレスは“自由に選ぶこと”。色や形、個性を生かせる商品をみんな待っていました」と打ち出していく。
イトーヨーカ堂の商品開発担当者や役員は、小学生と直接交流することで、性別と色に関する固定概念を大きく揺さぶられたようだ。
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