串カツ田中の「恫喝」問題 なぜ現場はマニュアルを軽視するのか:スピン経済の歩き方(5/5 ページ)
串カツチェーンを展開している「串カツ田中」が揺れている。串カツ田中を1カ月で退職した新人が流したと思われる「告発文書」が、ネット上で拡散しているのだ。どういう内容なのかというと……。
若手とベテランの対立
いろいろ言わせていただいたが、現時点ではあの文書が事実かどうかも分からない中で、これはあくまで筆者の勝手な想像にすぎない。
ただ、このような「マニュアル順守の若手」と「現場ルール重視のベテラン」の対立というのは、筆者が生業(なりわい)としている企業危機管理の現場では頻繁に発生している。しかも、串カツ田中のようにベンチャーから成長して、規模が急に大きくなったような企業では「あるある」というほど、よく見かける問題なのだ。
これまで不祥事対応などを何度か経験してきたようなベテラン社員ほど、危機管理マニュアルを軽視する。自分の部署だけで解決をしようとして、情報を上にあげずにかえって事態を悪化させるなんてのも、現場経験豊富な古参の管理職などがやりがちだ。皮肉なことに「豊富な経験」が、「マニュアル徹底」を妨げてしまっているのだ。
果たして、串カツ田中も他の居酒屋チェーンも陥りやすい「マニュアル軽視」という問題が発生したのか。同社の調査結果に注目したい。
窪田順生氏のプロフィール:
テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者、月刊誌編集者を経て現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌へ寄稿する傍ら、報道対策アドバイザーとしても活動。これまで300件以上の広報コンサルティングやメディアトレーニング(取材対応トレーニング)を行う。
近著に愛国報道の問題点を検証した『「愛国」という名の亡国論 「日本人すごい」が日本をダメにする』(さくら舎)。このほか、本連載の人気記事をまとめた『バカ売れ法則大全』(共著/SBクリエイティブ)、『スピンドクター "モミ消しのプロ"が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)など。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。
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