くら寿司、迷惑行為を防ぐ新システム導入 「異常検知」→「客に声掛け」をどう実現するのか:全店舗で運用開始(2/2 ページ)
くら寿司は3月2日から、迷惑行為を防ぐ「新AIカメラシステム」を全店舗に導入する。どういった仕組みで異常を検知するのか。
対応スピードを重視
広報・マーケティングを担当する岡本浩之本部長は、飲食店における悪質な迷惑行為が次々と発覚していることについて、「セルフサービスを提供する飲食店の利用に対し、不安を感じるお客さまが増えている。回転すしチェーンだけでなく、外食産業全体の危機にもつながっている」という認識を示した。
セルフサービスを支えるビジネスモデルは、客と店側の信頼関係だけはなく、客同士の信頼関係が重要になる。問題視されている一連の迷惑行為は、客同士の信頼関係を破壊しているという考えだ。
同社は迷惑行為が問題化してから、約1カ月で新システムの開発・導入を進めたと解説する。岡本本部長によると、対応の「スピード」を最も優先したという。
防犯上の観点から、新システムが検知できる異常行為の種類や、迷惑客への対応といった具体的な点についての明言は避けた。しかし、システムや現場での運用マニュアルについては随時アップデートしていく方針だ。
現在、くら寿司では迷惑行為問題を受け、約110店舗で客が入れ替わるたびにしょうゆのケースを消毒するといった対応をしている。くら寿司は国内に約500店舗あるが、5月末までには全店舗に拡大する方針だ。
回転すしのビジネスモデルで重要なのは「おいしいすしを安く提供すること」だ。大手チェーンでは、すしロボットを導入したり、各種システムを充実させたりすることで、より少ない人数での店舗運営を実現してきた。迷惑行為が横行すると、その対応にさまざまなコストがかかってしまい、収益を圧迫しかねない。
レーン上にすしを流すのではなく、注文した商品だけを専用レーンで届けるタイプの店舗を増やしている競合もいる。だが、くら寿司はレーン上をすしがぐるぐる回っている“エンタメ性”が重要だと考えている。
くら寿司には抗菌寿司カバーがあるため、いたずらは比較的されにくいと考えられてきた。しかし、一度取り出したすしを再びレーンに戻す動画がSNSで拡散したことを同社は問題視していた。
今回新しく導入したシステムは、迷惑行為を防ぐことができるか。
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