「従業員エンゲージメント」向上のカギは”社外”にあった 調査から見えてきたこと:人的資本の開示義務化(2/3 ページ)
顧客を大切にする企業であるほど「従業員エンゲージメント」(自社への愛着・信頼の度合い)が高い――。そんな結果が、6000人超を対象とした調査から分かった。ビジネス環境が大きく変化し、企業の「非財務情報」に注目が集まる中、人材をコストではなく資本と捉える「人的資本経営」が今後、企業の競争優位を左右するとされる。人的資本経営の重要指標となる従業員エンゲージメントが、企業の「顧客志向」と関連しているとの調査結果は、人的資本経営の実現を目指す企業にとってヒントになりそうだ。
企業が顧客志向であるほど、従業員エンゲージメントが高い
次に「あなたの会社はどの程度、顧客志向だと思いますか」と質問し、eNPSのスコアとの関連性を調べた。「非常にそう思う」と回答した人のeNPSは−45と最も高く、「全くそう思わない」と回答した人のeNPSは−93と最も低い結果になった。顧客志向の度合いと従業員エンゲージメントには高い相関関係が見られ、企業が顧客志向であるほど従業員エンゲージメントが高まることがうかがえる結果となった。
また、「あなたが働くうえで『会社が顧客志向であること』はどの程度重要ですか」と質問し、会社の顧客志向性と個人の顧客志向性をかけ合わせて分析した。その結果、自分の会社が顧客志向であると理解している場合の従業員エンゲージメント(職場推奨度)は5.3ポイント(11段階中)だったのに対し、会社が顧客志向だと思えない場合の従業員エンゲージメント(職場推奨度)は2.7ポイントとなった。
この結果からは、個人の顧客志向性を重要視している人は、自分の会社の顧客志向性を感じられないことによって、従業員エンゲージメント(職場推奨度)が大きく低下することがうかがえる。エモーションテックは「会社が顧客志向を実践できているかどうかが従業員エンゲージメントの向上に影響を与えていると考えることができる」と説明する。
サービス業従事者は特に「会社の顧客志向性」を重視
業界別に顧客志向への関心度合いをみると、特に「職業紹介/派遣」「宿泊」「金融」「教育」「飲食」といった、従業員が顧客と直接接点を持つサービス業で顧客志向への関心度合いが高いことが明らかになった。
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