「いつでも相談して」はなぜダメ? 「心理的安全性」のNGワードTOP3:部長級188人に聞いた
マーケティング支援サービスを手掛けるビズヒント(東京都渋谷区)は「組織の心理的安全性に関する調査」を実施した。約77%の組織で心理的安全性の重要性を認識。一方で半数以上の企業が失敗していることも分かった。
仕事に役立つ調査データ:
消費者の傾向、若者の価値観、働き方の変化――このコーナーでは、ビジネスパーソンの働き方や企業の戦略立案に役立つようなさまざまな調査データを紹介していく。
昨今よく聞く「心理的安全性」。組織において、個人が不安や恐れを感じることなく自身の考えを表現できる状態を指し、米グーグルが「生産性が高いチームは心理的安全性が高い」との研究結果を公表し話題になった。企業の多くが心理的安全性の浸透に努める一方で、逆効果となる言葉もあるようだ。
約半数の企業が失敗
マーケティング支援サービスを手掛けるビズヒント(東京都渋谷区)は、企業の決裁者(部長・事業部長以上)188人を対象に「組織の心理的安全性に関する調査」を実施した。
心理的安全性の浸透に「取り組んでいる」と回答したのは54人。「取り組もうとしている」と答えた90人と合わせると、約77%の組織で心理的安全性の重要性を認識していた。
一方、浸透の過程で失敗があったかを聞くと、「厳しさや張りのないぬるま湯組織になった」「甘えの気持ちから責任感やモチベーションが低下した」など、約53%が失敗を経験していることが分かった。この他「自立の履き違えで勝手に動かれ組織として機能しなくなった」「世代間で距離が生まれた」との回答もあった。
心理的安全性に逆効果な上司の発言
心理的安全性の浸透に逆効果または効果が薄いと感じた発言については「何か意見ないかな?」が1位、「いつでも相談して」が2位、「みんなで助け合おう」が3位と続いた。
理由としては「積極的に手を挙げる社員に仕事が集中してしまい、業務バランスが崩れてしまった」「意見を募ったが、リーダーが意思決定を放棄していると捉えられてしまった」などの声が挙がった。
職場の心理的安全性の高さについて、「十分高い」「やや高い」と回答したのは全体の4割だった。心理的安全性の浸透に向けて具体的に実施したことを聞くと、「上司や仲間と話をする時間を設けた」「組織の理念・ビジョンをチーム内で強く共有した」という回答が上位に挙がった。
調査は1月13〜27日、インターネットで実施した。
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