「売り物」としての鉄道ダイヤとは? 鉄道各社、改正の意図をさぐる:「商品力」高める(3/3 ページ)
3月18日、JRを中心に各鉄道事業者でダイヤ改正が行われた。ダイヤ改正の動きから、鉄道各社の「商品」としてのダイヤをどう捉えているのかが分かる。それぞれのダイヤ改正の動きと、その意図をさぐる。
利用価値を高めようとする、各社の動き
3月18日は各社局でダイヤ改正が行われたが、最大の改正はJR各社でのものだ。JRの改正に合わせ、相互に乗り入れする鉄道事業者もダイヤを改正し、中小私鉄や第三セクターにも広がっていく構造になっている。
東海道新幹線では「のぞみ」19本が東京〜新大阪間で所要時間3分短縮し、上越新幹線では東京〜新潟間で最大7分短縮される。最高速度が275km/hに向上したからだ。新幹線は所要時間を短くすることで利用価値を高め、利用者にとってよりよいサービスを提供しようとしている。
在来線ではどうか。JR東日本では、午前中に新宿に到着する「あずさ」「かいじ」のすべての列車が東京駅終着となる。甲府や松本から来た乗客が東京駅でそのまま新幹線に乗り換えられることは、大幅な利便性向上につながる。
そして、新たなホームの開業によってダイヤの利便性が向上するケースもある。
関西では、大阪駅で「うめきた地下ホーム」が開業する。これまで特急「くろしお」「はるか」は大阪駅を通らずに、梅田貨物線経由で新大阪駅に乗り入れていたところを、大阪駅にも停車するようにした。
もともと貨物駅跡地だったうめきたエリアにホームを新設し、利便性を高めることで、列車ダイヤの商品力も高めている。
ダイヤ改正には、利用者が多い時間帯の利便性をアップするというポジティブなものもあれば、利用者の少ない時間帯の本数を減らすというネガティブなものもある。鉄道事業者が商品としてのダイヤをどう考えているのか、ぜひ観察していただきたい。
関連記事
- なか卯が今でも「250円の朝食」を提供している理由 ライバルは牛丼チェーンではなかった
なか卯は、業界でも屈指のリーズナブルな朝食メニューを提供している。物価高騰が叫ばれる中で、なぜ低価格を維持しているのか。その理由を担当者に聞いた。 - 「朝モス」利用者、実は40〜60代がボリューム層 そのコンセプトは
大手外食チェーンを中心に「朝食」の時間帯を狙った戦略を展開している。モスバーガーは2014年から「朝モス」を本格的に導入しており、現在では朝食の時間帯の売り上げが全体の約1割を支えているという。朝モスはどのような経緯で始まり、どんなメニューが人気なのか。運営企業のモスフードサービスに取材した。 - 「580円の朝焼肉」誰が食べている? 焼肉ライクが開店を“4時間”早めてまで始めたワケ
焼肉ライクは「朝焼肉セット」という朝食メニューを2020年8月から展開している。コロナ禍で時短営業を余儀なくされ、「朝の時間帯」に活路を見出したのがきっかけ。今はどのように利用されているのか取材した。 - スラムダンクの“聖地”は今――インバウンド殺到も、鎌倉市が素直に喜べないワケ
江ノ島電鉄(通称:江ノ電)のとある踏切は、アニメ版『SLAM DUNK』に登場する有名な「聖地巡礼」スポットだ。現在上映中の『THE FIRST SLAM DUNK』の人気で、世の中ではにわかに「SLAM DUNK熱」が再燃している。インバウンド需要も戻ってきている中、あの聖地は今どうなっているのか。現地へ向かった。 - 人口815人の村を「AR貞子」が救う? 奈良県・下北山村がだいぶ思い切ったコラボを決めたワケ
奈良県、下北山村が「貞子」とコラボした企画が盛り上がっている。ARをつかった観光アプリを開発し、貞子が村内の名所から出現するという企画だ。下北山村はなぜ貞子とのコラボを決めたのか、担当者に聞いた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.