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「たばこ販売終了」の衝撃、ウエルシアHDが抱えていた“矛盾”:コンビニ有利に?(2/2 ページ)
ドラッグストア最大手のウエルシアホールディングス(HD)は3月24日、2026年2月までに全店舗でたばこ製品の販売を順次終了すると発表した。「健康な暮らしを提供する」との企業理念を鑑み、今後のたばこ販売は適切ではないと考えたという。
コンビニにとっては有利?
ウエルシアHDの決定は、たばこの販売ルートが大きいコンビニにとっては有利に働きそうだ。
たばこの販売には、健康への配慮の観点から、たばこ事業法に基づき、営業所ごとに財務大臣の許可が必要となっている。販売店の乱立による販売競争を防ぐため、既存のたばこ店との間に一定の距離を設ける距離規制がある。
これまで近隣のウエルシア薬局がたばこを販売していたことにより、販売許可が下りていなかったコンビニ店舗もあるとみられ、こうした店舗にとっては、たばこ販売のルートが広がりそうだ。
タバコの売り上げはどうカバーする?
「たばこ廃止」を決めたウエルシアHDは、たばこの売り上げを今後どうカバーするのか。山崎氏は「ドラッグストア業界が成長する背景には、健康志向の高まりの中で健康食品や医薬品のほか、ペット用品や園芸用品といった日用品の伸長も大きい。これらでカバーできるという判断もあるのではないか」と指摘する。
また、利益率の観点からみても、たばこは「たばこ税」の比率が大きく、粗利益率は消費財の中で最も低いものの1つ。「売り上げが減るほど、利益のインパクトは大きくない」(山崎氏)という。
財務省によると、全国のたばこの販売店数は2002年度の約30万7000店舗をピークに、年々減少を続けている。直近の21年末時点では22万9105店まで減っている。
業界最大手の動きは、たばこの販売店の減少に拍車をかけそうだ。
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