「夜マック」vs「夜モス」 ディナー時間帯の“戦い方”に明確な違い:両者を比較(2/2 ページ)
ハンバーガーチェーンの国内店舗数の1位と2位であるマクドナルドとモスバーガーは、それぞれ「夜マック」「夜モス」を展開している。それぞれのメニュー展開、想定ターゲットを比較した。
夜モスはコロナ後にはじまった
「夜モス」はモスバーガーが午後3時以降の時間帯限定で展開しているメニューで、全店(一部店舗を除く)に展開したのは22年5月18日。夜マック全国展開と比較すると約4年が経過したタイミングであり、ウィズコロナでのスタートとなる。同年3月21日に、東京都による飲食店への時短営業要請が終了しており、これから夜の時間帯のニーズが戻ってこようという時期だった。
想定ターゲットは30〜40代の男性で、仕事帰りの「お持ち帰りニーズ」を狙ったという。
「夜モスライスバーガー よくばり天 金目鯛とかきあげ」は、海鮮かき揚げに金目鯛の素揚げを乗せた商品。家庭で調理する機会があまりないであろう金目鯛を使用し、調理法は素材の味を楽しめるように素揚げを採用し、中食のニーズに訴求したという(現在は販売終了)。
「夜モスライスバーガー よくばり焼肉」は、具の焼肉の量を通常時間帯のメニューの2倍にし、1つの商品でもしっかり満足感を得られるようにした。
実際の購買層はというと、夜モスの「焼肉」と「金目鯛」を購入する客層の7割は男性で、20代以下がボリュームゾーンとのこと。想定よりも若い層から支持されているようだ。
一方、通常時間帯で販売しているレギュラーメニューのライスバーガーでは、「焼肉」は男性、「海鮮かきあげ」は女性に人気がある。いずれも30〜40代が購入層のメインで、次に50代が多いという。ディナー時間帯でボリュームのある食事を求めるのは、結局のところ若い世代なのかもしれない。
そして先日3月24日から、「夜モスライスバーガー カツカレー」の提供を開始した。冷製カレーソースを絡めたロースカツに、グリーンリーフとキャベツを合わせ、ライスプレートで挟んだ商品だ。
カレーソースは4種類のカレー粉と3種類のカレールーをブレンドしており、辛味はマイルドに抑え、醤油も加えて家庭的な味付けに仕上げたという。同商品の発売に伴い、「夜モス ライスバーガー よくばり天 金目鯛とかきあげ(塩だれ)」は販売終了となる。
夜マックと夜モスは、主力のランチ時間帯以外を強化するために始めたという点で、出発地点は同じだ。食べ応えを意識したメニュー展開である点も共通する。しかし想定するターゲットにおいては、夜マックは「家族や友人とワイワイ楽しみたい」パーティー需要、夜モスは仕事帰りのビジネスパーソンの持ち帰り需要をそれぞれ狙っている点で異なる。
展開メニューは、ボリュームと見た目のインパクトを訴求するマックに対して、素材や味付けにこだわったモス。ディナー時間帯の「戦い方」にも、2社の思想の違いがあった。
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