「80万人も生まれている」 深刻な少子化なのに「西松屋」が強気なワケ:長浜淳之介のトレンドアンテナ(4/4 ページ)
コロナ禍で少子化が深刻なことになっている。しかし、ベビー・子供服専門店「西松屋」は好調だ。「毎年80万人も生まれている」と強気な発言をする理由とは?
なぜ少子化で成長できるのか
それにしても、少子化がますます進む状況で、今後の成長に不安がないのだろうか。
「新生児の数が減ったといっても、毎年80万人も生まれているのです。西松屋はベビー・子供関連商品で、まだそれほどシェアを取れていませんしね」(西松屋チェーン・総務)と、同社では市場規模の大きさに対して成長の余地が十分にあると考えている。
ベビー・子供服の国内小売市場約9000億円に対して、西松屋チェーンの年商は約1600億円。まだ2割に達していないことになる。
一方で西松屋は、少子化への対策として、商品の対象年齢を広げる施策を行っている。これまで、同社の子供服は小学校3年生くらいまでが対象だったが、小学校4〜6年生の高学年までに商品ラインアップを拡大。TVのCM、ジュニア向け雑誌の広告、YouTubeなどを通じて宣伝を強化している。
このように、新しい分野に果敢にチャレンジしているから、成長できるのだ。
また、将来的には海外への出店も考えている。既に一部、商品の卸売などに取り組んでいる。国情によるカスタマイズは必要だが、ビジネスモデルがしっかりしているので、成功する可能性は高いのではないだろうか。
過去最高の売り上げを毎年更新し続ける西松屋に、成長の限界は存在しないかのようだ。
著者プロフィール
長浜淳之介(ながはま・じゅんのすけ)
兵庫県出身。同志社大学法学部卒業。業界紙記者、ビジネス雑誌編集者を経て、角川春樹事務所編集者より1997年にフリーとなる。ビジネス、IT、飲食、流通、歴史、街歩き、サブカルなど多彩な方面で、執筆、編集を行っている。著書に『なぜ駅弁がスーパーで売れるのか?』(交通新聞社新書)など。
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