「正義の承認欲求モンスター=カスハラ」に対応するには、どうすればいいのか:スピン経済の歩き方(1/5 ページ)
店員や従業員に対して、過度な要求をするカスタマーハラスメントが社会問題になっている。罵詈雑言を浴びせる客にどのように対応すればいいのか。
お客様と社員は対等の立場であるべきで、お客様は神様ではありません――。
秋田県のバス会社のそんな意見広告が注目を集めている。店員や公共交通機関の従業員に対して過度な要求や罵詈雑言を浴びせるカスタマーハラスメントが深刻な社会問題になっているからだ。(関連記事)
数年前、SNSでスコットランドのパブの壁に貼ってあったという「お前が受けるサービスの質はお前の態度と俺の気分次第だ」 という張り紙が「日本のサービス業も参考すべき」と話題になったが、いよいよ日本でも「過剰なお客様至上主義」を否定するトレンドが盛り上がってきたのかもしれない。
ただ、これまでカスハラなどの顧客トラブルに実際に対応してきた立場から言わせていただくと、こういう「店側をリスペクトせよ」という呼びかけは残念ながらほとんど効果がない。
『企業に上から目線の「カスハラおじさん」が、大量発生しているワケ』の中でも詳しく解説したが、カスハラをする人は基本的に「自分の言っていることは社会一般の常識に照らし合わせても正しい」と固く信じているケースが多い。
非常識かつ不誠実な対応をしたのはあくまで店や公共交通機関の従業員側であって、自分はそのひどい対応の被害者であって、それを正してやっている「善意の人」くらいに思っている。というわけで、店側の間違いを正すために良かれと思って注意をしてやっている、という俗にいう「世直し型クレーマー」が多いのだ。
カスハラ客は自分のことを「偉い」と思っているから暴言を吐くわけではなく、「正しい」と思っているから、相手に「私が悪うございました」と白旗を上げさせるために言動がエスカレートしていく。分かりやすく言えば、「正義の承認欲求モンスター」なのだ。
関連記事
- バーガーキングがまたやらかした なぜマクドナルドを“イジる”のか
バーガーキングがまたやらからしている。広告を使って、マクドナルドをイジっているのだ。過去をさかのぼると、バーガーキングは絶対王者マックを何度もイジっているわけだが、なぜこのような行動をとるのか。海外に目を向けても同じようなことをしていて……。 - ちょっと前までブームだったのに、なぜ「高級食パン」への風当たりは強いのか
どうやら「高級食パン」のブームが終わるようだ。最近、さまざまなメディアがこのように報じているわけだが、なぜ「高級食パン」への風当たりは強いのか。その背景には、2つの理由があって……。 - 登山家・栗城史多さんを「無謀な死」に追い込んだ、取り巻きの罪
登山家の栗城史多さんがエベレスト登頂に挑戦したものの、下山中に死亡した。「ニートのアルピニスト」として売り出し、多くの若者から支持を集めていたが、登山家としての“実力”はどうだったのか。無謀な死に追い込まれた背景を検証すると……。 - 「マルチ商法の優等生」アムウェイは、なぜこのタイミングで“お灸”を据えられたのか
日本アムウェイ合同会社に対して、消費者庁が勧誘などの一部業務を6カ月間停止する命令を出した。「昔から同じようなことをやっているのに、なぜ今なの?」と思われたかもしれないが、どういった背景があるのか。さまざまな憶測が飛び交っていて……。 - 「男女混合フロア」のあるカプセルホテルが、稼働率90%の理由
渋谷駅から徒歩5分ほどのところに、ちょっと変わったカプセルホテルが誕生した。その名は「The Millennials Shibuya」。カプセルホテルといえば安全性などを理由に、男女別フロアを設けるところが多いが、ここは違う。あえて「男女混合フロア」を取り入れているのだ。その狙いは……。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.