シャトレーゼ、卵を使わない商品続々 人気菓子店は卵不足にどう向き合う?:不断の改良(1/2 ページ)
菓子大手シャトレーゼ(山梨県甲府市)が4月1日から一部商品の値上げに踏み切った。価格維持を宣言してきたが、深刻化する卵不足と卵価格の高騰が追い打ちをかけた。一方、同社は影響を最小限に抑える技術的な強みを持つ。人気菓子店は、卵不足にどう向き合っているのか。
菓子大手シャトレーゼ(山梨県甲府市)が4月1日から一部商品の値上げに踏み切った。価格維持を宣言してきたが、深刻化する卵不足と卵価格の高騰が追い打ちをかけた。一方、同社は影響を最小限に抑える技術的な強みを持つ。人気菓子店は、卵不足にどう向き合っているのか。
「コスト削減を続けてきたが、菓子作りに必要な小麦粉、油脂、砂糖、あらゆる原材料価格が値上がりし、息切れしてどうにもならない。そこに卵不足がダメ押しとなった」
同社広報室長の中島史郎さんは、値上げに踏み切った経緯をこう説明する。値上げの対象は、取り扱う400アイテムのうち約150アイテム。4月から9月にかけて順次、10〜30円引き上げる予定だ。
同社は現在、菓子専門店「シャトレーゼ」を国内750店舗(プレミアムブランド「YATSUDOKI(ヤツドキ)」25店舗を含む)、海外9カ国164店舗展開する。「YATSUDOKI」は山梨県の契約農家から直接、卵を仕入れているため影響はないというが、シャトレーゼ店舗は仕入れルートが異なるため、卵不足の影響をもろに受ける。「好転する材料が見当たらず、かなり深刻な状況だ」と中島さんは話す。
アレルギー対策商品で培った技術
一方で同社は、卵不足の状況下でも安心材料となる技術的な強みを持つ。それは、アレルギー対応商品として卵を使用しない、あるいは卵の使用量を抑えたアイスやケーキ作りのノウハウを持っている点だ。
同社は5年前からアレルギー対応アイス「乳と卵と小麦粉を使用していないおいしいアイス」のバニラ味を販売している(4個入り237円)。
乳製品と卵の代わりに、豆乳と植物油脂を使用し、ほんのりと豆乳の甘さを感じられる商品だ。
今回、新たにココア味を開発し、4月13日から全国のシャトレーゼ店舗で発売する(4個入り259円)。アレルギーに悩む子どもたちに新たな味わいを楽しんでもらおうと、ラインアップを増やした。
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