ゴミ放置、ケンカ、騒音――住民から苦情の無料キャンプ場、4月から「有料化」正式導入:埼玉・飯能河原(1/2 ページ)
埼玉県飯能市は、ゴミの放置や騒音が問題になっていた飯能河原キャンプ場について、4月から有料化に踏み切った。民間企業と連携し、BBQなど火器使用時の有料化の実証実験を進めてきた結果、マナー改善の成果が見られた。
埼玉県飯能市は、ゴミの放置や騒音が問題になっていた飯能河原キャンプ場について、4月から有料化に踏み切った。民間企業と連携し、バーベキュー(BBQ)など火器使用時の有料化の実証実験を進めてきた結果、マナー改善の成果が見られ、正式導入に至った。
コロナ禍で密を避けられるアウトドアアクティビティーがブームとなる中、同キャンプ場では、ゴミの放置・投棄、BBQの煙や臭い、大音量で音楽を流すなどの騒音、交通渋滞、利用者同士のケンカ――といった問題が表面化していた。市は周辺住民からの苦情を受け、2021年8月、コロナ対策の緊急事態宣言の発出に合わせて河原の一時閉鎖に踏み切った。
オーバーツーリズム解消へ
こうした「オーバーツーリズム」(観光公害)を食い止めるため、市は22年4〜5月と7〜8月、コンサルティング会社「地域デザインラボさいたま」(さいたま市)や一般社団法人奥むさし飯能観光協会などと連携し、BBQなど火器を使用する際の「予約・有料化実証実験」を実施。
この結果、22年4月21日〜5月8日の来場者数は、無料だった前年同期の4961人から1434人と4分の1程度に減少。近隣住民からも「マナーがよくなった」との声が寄せられた。
こうした結果や利用者の安全確保などを踏まえ、有料化が適切だと判断。5月の大型連休を間近に控え、4月から正式に有料化に踏み切った。
大型連休や5〜7月の土日祝日、夏休み期間(7月下旬〜9月上旬)、9〜11月の土日祝日といった年間90日程度を「特定日」に定め、特定日に火器を使用する際のキャンプ場利用料は1人あたり1000円に設定した。小学生以下は無料。また1日の定員も原則500人とした。
市の担当者は有料化で「観光と自然・生活環境の調和を目指していきたい」と強調した。
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