英国の超豪華客船「クイーン・エリザベス」が日本発着クルーズを重視するワケ:乗船レポート2(1/4 ページ)
日本のクルーズ市場において外国客船は重要な位置を占めている。近年利用者が急増している「フライ&クルーズ」は日本人が飛行機で海外に赴いて現地のクルーズを利用する形態だった。今回の記事で紹介する外国客船による日本発着クルーズはその逆で、客船が海外から日本にやってきて日本の周辺海域を航海する。
日本のクルーズ市場において外国客船は重要な位置を占めている。近年利用者が急増している「フライ&クルーズ」は日本人が飛行機で海外に赴いて現地のクルーズを利用する形態だった。
今回の記事で紹介する外国客船による日本発着クルーズはその逆で、客船が海外から日本にやってきて日本の周辺海域を航海する。
外国客船が日本を目指す理由
外国客船による日本発着もしくは日本寄港クルーズは2010年代に入ってからその利用者数を急速に伸ばしている。その間、日本の船会社が所有する客船の隻数はほとんど変わっていないので、増えた利用者数の多くが外国客船を利用したといえる。
日本の港を利用するクルーズ船の寄港回数の推移。日本客船の実績が比較的横ばいなのに対して外国客船の実績は2017年にかけて急増している。なお、2018年、2019年で横ばいなのは中国発着日本寄港の実績が減少したためだ(国土交通省「2019年の我が国のクルーズ等の動向」より
日本に寄港するクルーズ客船の増加には、「オーバーツーリズム」(寄港先のキャパシティを大きく超える観光客の集中)や「ゼロツーリズム」(一部の店舗だけに観光客が集中し地元全体にまで利益が行き届かない)という観点で課題もあった。
一方で、寄港先での購買行動を軸にした旅行とはコンセプトが異なるクルーズに取り組む外国客船も日本で着実に実績を上げてきている。
それは「日本に親しむ」ことを重要な目的としたクルーズだ。その実例として、この連載でもキュナード・ライン ジャパンオフィスのコマーシャル・ディレクターを務めている浅井信一路氏の「海外から日本を訪れる観光客において、東京、京都、大阪といった定番だけでなく、地方を訪れてその土地の伝統と文化を“体験”したいという需要が増している」という言葉を紹介している(「いまなぜ増える海外客船の日本発着クルーズ」参照)。
日本を訪れた外国人にとって、客船で旅するメリットの1つに、こうした“定番でない地方”へのアクセスが容易なことが挙げられる。客船での移動ならば「乗っているだけ」で地方に行くことができ、船内では英国の情緒あふれる雰囲気の中で過ごすことができる。例えば、17年から日本発着クルーズを定期的に実施しているクイーン・エリザベスは日本を旅する欧米人にとって「食事や言語など(特に英国人にとって)慣れ親しんだ環境がそろっている」(前記記事より浅井氏コメント)といえる。
これを逆の視点で見てみると、日本人からすれば、外国客船に乗るということは「その国を知ること」に通じる。例えば、前出のキュナードが日本発着クルーズに投入している「クイーン・エリザベス」に乗船するということは、クイーン・エリザベスを通して英国を体験することに相当する。
そのクイーン・エリザベスが23年4月19日から日本発着クルーズを再開した。実に19年のシーズンから4年ぶりとなる。いま日本の海を航海しているクイーン・エリザベスでは、どのような英国を体験できるのだろうか。
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