英国の超豪華客船「クイーン・エリザベス」が日本発着クルーズを重視するワケ:乗船レポート2(4/4 ページ)
日本のクルーズ市場において外国客船は重要な位置を占めている。近年利用者が急増している「フライ&クルーズ」は日本人が飛行機で海外に赴いて現地のクルーズを利用する形態だった。今回の記事で紹介する外国客船による日本発着クルーズはその逆で、客船が海外から日本にやってきて日本の周辺海域を航海する。
長い歴史と実績を持つキュナードでも、新型コロナウイルス感染症の世界的まん延では影響を受け、所有する3隻の客船「クイーン・エリザベス」「クイーン・メリー2」「クイーン・ヴィクトリア」は21年8月まで商業航海を停止していた。
しかし、その後はクイーン・エリザベスから順次航海を再開し、現在では3隻とも商業航海を実施している。その販売実績は「販売初日の予約数が過去10年で最多となる記録の更新が3回も続きました」(グリーヴス氏)というほどに好調だ。
外国客船が取り組む安全なクルーズの実現
日本沿岸を航海するクルーズの再開にあたって、日本客船では「日本外航客船協会」(JOPA:Japan Oceangoing Passenger Ship Association)主導で新型コロナウイルス感染症への対策を進めている。20年5月には「外航旅客船事業者の新型コロナウイルス感染予防対策ガイドライン」を策定して、同年10月からは商業航海を再開している。
これと同様に、外国客船を日本で運航している海外船会社日本拠点でも商業航海の再開を目標の1つとして、21年4月に「日本国際クルーズ協議会」(JICC:Japan International Cruise Committee)を設立、22年11月15日には「国際クルーズ運航のための感染拡大予防ガイドライン」を公開した。
その内容は「18歳以上の“乗客”の95%以上は、ワクチン2回接種の1次予防接種を受ける」「乗客は、屋内では、距離が確保でき会話をほとんど行わない場合をのぞき、マスク着用を推奨する」など、この連載の前回掲載記事で紹介したオーストラリア沿岸を運航する客船に相当する安全レベルを要求している。
こうした業界全体の動きもありながら、日本発着クルーズを再開するグリーヴス氏は次のようなメッセージを日本に向けて送っている。
「キュナードは、訪問する寄港地や地域のパートナーと緊密に連携しながら運航を続けています。オーストラリアでのシーズンが終わると、日本での発着クルーズの再開です。お客さまと乗組員の健康と安全を守ることを第一に考え、寄港先の当局と緊密に連携し、今後の計画を進めていきます」
この「船客と乗組員の健康と安全を守ることを第一に」「寄港先の当局と緊密に連携」こそが、外国船籍客船によるクルーズが日本で運航再開するために必須の条件であることは改めて言うまでもないだろう。
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