オオサンショウウオやジンベエザメ 水族館が「ぬいぐるみ」制作にこだわるワケ:開発に4年超も(2/3 ページ)
最大9連休となる2023年のゴールデンウイーク、水族館に足を運ぶ人も多いのではないか。水族館といえば海の生き物の展示はもちろん、見逃せないのが、ぬいぐるみなどのグッズだ。単にかわいさをアピールするだけでなく、飼育員が監修し細かな部分までリアルに再現するなど、各館ごとに手の込んだこだわりが光る。水族館がぬいぐるみの制作にこれほど注力するのはなぜなのか。
ペンギン推しの「すみだ水族館」
京都水族館と同じ2012年に開業したすみだ水族館(東京都墨田区)は、マゼランペンギンが有名だ。オリジナル商品はペンギンのぬいぐるみだけでも常時10種類以上を取りそろえる力の入れようだ。
最も人気なのは、やはり「マゼランペンギンぬいぐるみ」。12年の開業当初から販売しており、サイズは等身大(53センチ、1万2000円)、M(27センチ、4200円)、SS(17センチ、2100円)――の3種類。日々、ペンギンを間近でよく見ている飼育スタッフが監修してこだわり抜いたアイテムだ。
担当者は「生き物の魅力を伝え、お客さまにいのちや環境について関心を持ってもらうことが水族館の役割だと思っています」と話す。
同館人気のぬいぐるみアイテムトップ3はいずれもペンギンのアイテムで、2位は2022年の新商品「ヒナペンギンぬいぐるみ」、3位は2020年から販売する「めちゃラブペンギンぬいぐるみ」だ。
東京スカイツリー内に位置する同館は、観光客だけでなく、仕事帰りに一杯飲んでから立ち寄る働き世代、子どもと散歩がてら立ち寄る子育て世代など、さまざまな客層がいるという。多様な客層の生活に溶け込むようなデザインのぬいぐるみ開発に注力しているという。
担当者は「水族館の体験を思い出してもらえる『お土産』自体をとても大切なものとして捉えています。中でもぬいぐるみは、生き物の特徴を形で伝えやすく、より愛着を感じてもらいやすいアイテムだと思っています」と話す。
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