“おっさんビジネス用語”って面白いよね 若者が「過去を楽しむ=危険」なワケ:スピン経済の歩き方(3/6 ページ)
「社内運動会」「一丁目一番地」「全員野球で」といった昔のビジネス用語が話題になっている。若者の間で盛り上がっているようだが、こうした傾向に問題はないのだろうか。ビジネスの世界で、過去を楽しむことはキケンであって……。
日本企業の根底に「軍隊気質」
さて、このような話を聞くと、「それは過去にすがっているのではなく、過去の優れた方法論や経営哲学から学ぶことが多いからだ」という反論もあるかもしれない。
実際、日本のビジネスパーソンは「過去から学ぶ」が大好きだ。ネットやSNSでは、「稲盛経営哲学がジョブ型雇用に生かせる」「松下幸之助に今こそ学べ」なんて記事があふれている。もっとさかのぼって、「戦国武将から学ぶ事業承継とM&A」と歴史上の人物から、危機を乗り越えるヒントを得ようという人もいるほどだ。
もちろん、「歴史は最強の学問」という言葉もあるように、一般的にこのような姿勢は決して悪いことではない。ただ、日本のビジネスパーソンに限っていえば、あまり「過去」にとらわれてしまうことは、極端な精神第一主義、根性論に傾倒して、合理的な判断ができずに組織を暴走させてしまう恐れがありおすすめしない。
なぜこうなってしまうのかというと、日本の企業文化を過去にさかのぼっていくと、100%の確率で旧日本軍の軍隊文化に突き当たってしまうからだ。
これまで筆者は本連載で繰り返し、日本企業の根底には「軍隊気質」があることを指摘させていただいてきた。これは左翼だなんだというイデオロギー的な話ではなく、多くの経済人も認めている歴史的な事実だ。
実は、年功序列、定期異動、定時出社、上司の命令には絶対など、多くの日本人が「日本企業特有の文化」と信じていることのほとんどは、戦時体制下に軍隊の指導によって社会に定着したものである。
当時、総力戦をしていた日本では、民間企業は生産性を上げるために軍隊の優れた組織マネジメントを導入せよ、というお達しがでて、実際に軍隊から指導員がきた。彼らのもとで軍隊式の働き方改革を受けた民間人は「産業戦士」と呼ばれた。
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