“おっさんビジネス用語”って面白いよね 若者が「過去を楽しむ=危険」なワケ:スピン経済の歩き方(5/6 ページ)
「社内運動会」「一丁目一番地」「全員野球で」といった昔のビジネス用語が話題になっている。若者の間で盛り上がっているようだが、こうした傾向に問題はないのだろうか。ビジネスの世界で、過去を楽しむことはキケンであって……。
過去にしがみつくことの危険性
こういうことが現在まで繰り返されてきた。だから、日本のビジネスパーソンの「美徳」とされることは、実はほとんど「軍隊の美徳」なのだ。
最も分かりやすいのが、「5分前行動」だ。日本のビジネスパーソンからすれば、午後1時に得意先とアポがあっても、12時50分には現地に到着して、55分には会議室に入っているというのが半ば常識となっている。新人が本当に午後1時ピッタリに集合場所にやって来たら、「いつまで学生気分でいるんだ」なんて注意されてしまう。
正確で礼儀正しい日本人の美徳だが、何を隠そうこのルーツは、旧海軍で叩き込まれていた「5分前精神」という教育にある。これは戦闘はもちろん、訓練や術科、学校など日常生活のすべてが定刻の5分前にはすべての準備が整っていることが求められる。
こういう「軍隊カルチャー」は例を出したらキリがない。冒頭の「おっさんビジネス用語」にある「イケイケドンドン」も戦争における進軍の意味だし、「突貫工事」も軍隊の「吶喊」(とっかん)という用語からきている。
つまり、いくら「ネタ」とはいえ、若者が「おっさんビジネス用語」を面白がっているのは、「軍隊式の働き方」に魅せられてしまっているということでもあるのだ。
若い世代がこうなると、日本企業はさらに衰退してしまう。ご存じのように、旧日本軍は戦後、米国の徹底した調査でも明らかになったように、精神主義が横行していた。また、大本営内部での責任のなすり付け合いによって、「撤退」という判断ができずにズルズルと破滅に向かっていたように、組織としても機能不全に陥って、隠ぺいや改ざんも行われていた。
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