好立地の「吉野家」が採用難で休業・時短! 「時給」アップでは限界 どう乗り切る?:発想の転換が必要(3/5 ページ)
小売りや外食の人手不足が深刻化している。都心の吉野家でも営業時間短縮や休業を強いられている。「時給高い」「近い」「融通がきく」では限界だ。
人手が必要という発想から抜け出せるか
私は今回のこの問題にはいくつかの背景があると見ています。真正面から現実に向き合わないと、人手不足倒産になる可能性もあります。
まずは人手不足が起きている現状を把握しましょう。これには4つの変化が関わっています。
若者の非正規雇用者は減少している
総務省統計局の労働力調査(22年)によると、日本全体で就業者数は6723万人です。このうち非正規職員・従業員数は2103万人ですが、この10年間でもっとも非正規職員・従業員数の多かった19年と比較すると69万人、3.2ポイントの減少です。
特に企業側が働き手として求める15〜34歳の非正規雇用者が546万人から500万人と46万人減少しています。若者の非正規雇用者はこのコロナ禍で大きく減少したのです。
一方、55〜64歳、65歳以上の非正規雇用者は増加しています。特に65歳以上は19年よりも17万人増えています。55歳以上は正規雇用者数も増加しています。
有効求人倍率が上昇している
23年2月時点で有効求人倍率(パートタイム含む一般)は全国平均で1.41倍、東京都では1.85倍です。東京は前年比0.48ポイントアップしています。求職者よりも求人数が圧倒的に多い状況ですから、なかなか人が集まらないのは当然といえます。
業種別では23年4月にはアパレル・ファッションの求人が1.5倍に増加しています。コロナ禍で大打撃を受けた業界ですが、アフターコロナを見据えて求人数がかなり増えています。同業界は若者に人気の高い職種です。アパレル業界のようにコロナで求人を抑えてきた業種が4月以降、一気に求人を増やしてきたことで、結果的に飲食・サービス業に流れてくる人材が減少しているのです。
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