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好立地の「吉野家」が採用難で休業・時短! 「時給」アップでは限界 どう乗り切る?発想の転換が必要(4/5 ページ)

小売りや外食の人手不足が深刻化している。都心の吉野家でも営業時間短縮や休業を強いられている。「時給高い」「近い」「融通がきく」では限界だ。

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非正規社員の不足

飲食業では特に非正規社員が不足している

 東京商工リサーチが23年4月に発表した「人手不足」に関するアンケート調査(有効回答4445社)によると、全体の7割弱にあたる企業が「正社員不足」と回答しています。業種による不足感の中では、飲食、宿泊、娯楽サービスは、「正社員、非正規社員ともに、半数以上の企業が不足」と回答しています。

 コロナ禍で店舗の休業を余儀なくされて、パート・アルバイトを減らさざるを得なかった代表的な業種が飲食や宿泊などのサービス業でした。それが徐々に客足が戻り始めてパート、アルバイトを集めようとしても、すでに他業種に職を得てしまった人達はなかなか戻ってきてはくれません。普通に採用するだけでは人手不足は埋まらない領域にきているのです。

全産業レベルで時給が上がっている

 今は全産業レベルで時給が上がっています。マイナビの23年3月度アルバイト・パート平均時給レポートでは「調査開始以来、全国の平均時給が1189円で過去最高になった」そうです。4月には若干落ち着いたものの、関西では過去最高の時給になるなど、まだまだ時給は上昇傾向にあります。

 パート・アルバイトの時給を一気に2割引き上げたのはユニクロのファーストリテイリングでした。その後、イオンとオリエンタルランドは7%増、任天堂は10%程度増など、大手企業が続々と発表しました。最初の頃は「ユニクロだから時給を引き上げられるのだろう」程度に見ていた企業も、イオンやディズニーランドなど身近で影響力のある企業が続々と非正規雇用者の賃上げを発表したことで、いよいよ本格的に非正規社員の賃上げに踏み切る必要がでてきたのです。結果的に全体の時給が引き上がりました。

 現在ではどの業種も時給が上がり、単に時給を上げただけでは求職者には響かなくなっています。これは、企業にとっては非常に厳しい状況です。そもそも「人がいないと店を開けられない」という固定観念から抜け出す、根本的な取り組みが必要かもしれません。

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