サイゼリヤが強気に「値上げしない」宣言できるワケ ガスト、デニーズと比べて分かった圧倒的強み:3つの視点(1/3 ページ)
値上げラッシュが続いている。一方、サイゼリヤは当面は値上げしない方針を打ち出している。ガストやデニーズと比較して、見えてきた強みとは?
著者プロフィール
佐久間俊一(さくま しゅんいち)
レノン株式会社 代表取締役 CEO
WEB3.0専門のコンサル会社 マーヴェリック株式会社 COO(Chief Operating Officer)
城北宣広株式会社(広告業)社外取締役
著書に「小売業DX成功と失敗」(同文館出版)などがある。
グローバル総合コンサルファームであるKPMGコンサルティングにて小売企業を担当するセクターのディレクターとして大手小売企業の制度改革、マーケティングシステム構築などDX領域のコンサルティングを多数経験。世界三大戦略コンサルファームとも言われている、ベイン・アンド・カンパニーにおいて2020年より小売業・消費財メーカー担当メンバーとして大手小売企業の戦略構築支援及びコロナ後の市場総括を手掛ける。2021年より上場会社インサイト(広告業)のCMO(Chief Marketing Officer)執行役員に就任。
2022年3月小売業と消費財メーカーの戦略とテクノロジーを専門にコンサルティングするレノン株式会社を設立。
2019年より1年半に渡って日経流通新聞にコーナーを持ち連載を担当するなど小売業には約20年間携わってきたことで高い専門性を有する。
日経MJフォーラム、KPMGフォーラムなど講演実績は累計100回以上。
3月7日に厚生労働省から発表された実質賃金は前年同月比4.1%減でした。これは、物価の上昇に賃金の上昇が追い付いていないことを意味しています。さまざまな商品・サービスの値上げにより、年間約18万円の家計負担増というデータも出ている中、各産業において低価格路線企業が勝つのか、それとも多少ハイプライスでも高付加価値型が復調するのか、注目が集まるところです。
今回はその中でもファミリーレストランの代表的存在である、デニーズ、サイゼリヤ、ガストに焦点を当ててみたいと思います。
まず、外食市場全体とファミリーレストラン市場の推移を確認してみましょう。2015年を100とした推移をみると、外食市場全体の成長率(104.7%)よりも、ファミリーレストランは87.1%と苦戦していることが分かります。コロナ前の19年対比では外食市場全体が94.8%にまで回復しているのに対して、ファミリーレストランは84.1%とまだ回復道半ばです。フードサービス協会によると、21年の外食率(家計の飲食料費に占める外食費の割合)は25.1%と減少している中、そのウォレットシェアをいかに獲得するか、コロナ前とは異なる対策がファミリーレストランに求められているのではないでしょうか。例えば、巣ごもりで我慢を強いられていた居酒屋需要や、カフェ市場の取り込みなどです。
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