サイゼリヤが強気に「値上げしない」宣言できるワケ ガスト、デニーズと比べて分かった圧倒的強み:3つの視点(2/3 ページ)
値上げラッシュが続いている。一方、サイゼリヤは当面は値上げしない方針を打ち出している。ガストやデニーズと比較して、見えてきた強みとは?
サイゼのポジショニングは?
飲食業の人材紹介を軸に事業展開するインデンエンターテイメント(京都市)のメディア「インバウンドプラス」の調査によると、ガストの商品点数は206点で、サイゼリヤ(82点)の2.5倍の品ぞろえを誇っています。全商品(デリバリー、テークアウトは除く)の平均価格はデニーズが823円であるのに対して、サイゼリヤは363円。デニーズの半値以下と大きく差が生じています。
デニーズはマスクメロンのザ・サンデーが1990円、BEEFハンバーグステーキ満足セットが2090円など、他とは異なる価格帯で強みを発揮しようとしていることが見てとれます。ガストはから揚げ、丼もの、うどんなど和食が充実しており、単品メニューが80アイテムと突出した品ぞろえをしています。
デニーズとガストはモーニング、ランチ、キッズなど、時間帯やターゲット別のメニューを展開しています。一方、サイゼリヤはそのような展開はしておらず、リーズナブルかつ絞られたメニューで、セット割引などもせず定価で収益を確保しているように見受けます。
サイゼリヤはグラスワイン(100円)や長く愛されているミラノ風ドリア(300円)、ペペロンチーノ(300円)など圧倒的低価格とおいしさを両立した価値を提供していることが最大の特徴です。
サイゼリヤは公式Webサイトでも明確に打ち出している通り、価格に対して強いポリシーを持っています。創業当時、サイゼリヤは集客に苦労していました。そこで、「お客さまに喜んでもらえる価格」を追求した結果、行列ができるお店となったことで、今の価格への考え方ができたと書かれています。
セットメニューを提供しないのも、一人一人の顧客がその日の好みや体調に合わせて組み合わせをたのしむというイタリアの食文化である「コーディネーション」を体験してもらいたいという想いからきているそうです(出所:サイゼリヤ公式Webサイト)。
3社の方向性を大きくまとめてみると、低価格で象徴的人気商品を確立するサイゼリヤ、商品の幅広さで低〜中価格帯を包み込むガスト、中〜高価格帯・価値勝負のデニーズというポジションとなっていることが次の2つの図からも分かります。
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