東京23区にも“秘境”があった! 秘境駅になってしまう大きな2つの要因とは?:全部で5駅(1/3 ページ)
3月17日〜5月7日、JR東日本が「東京23区内秘境駅ラリー」なるイベントを開催した。23区内には100人いたら90人くらいが駅名を知らない、その駅で降りたことがないという秘境駅が存在している。ラリーで取り上げられた駅を含めて秘境駅を紹介するとともに、なぜ秘境なのかを分析していこう。
3月17日〜5月7日、JR東日本が「東京23区内秘境駅ラリー」なるイベントを開催していた。秘境とされたのは5駅。それぞれの駅についての解説や駅名が分からないようにした写真などが添付されており、それを頼りに駅を訪ねてスタンプを押していくというラリーである。
秘境とは外部の人が足を踏み入れたことがほとんどない、まだ一般に知られていない場所のことを指すそうだ。その意味では23区内で秘境はちょっと言い過ぎ感はあるものの、100人いたら90人くらいが駅名を知らない、その駅で降りたことがない程度の秘境駅なら確実に存在している。ここではラリーで取り上げられた駅を含めて秘境駅を紹介するとともに、なぜ秘境なのかを分析していこう。
23区内に存在する“秘境”
私が秘境駅ラリーに気付いたのは線路名称上(以下、全てJRの線路名称を使用)は東北本線、実際には京浜東北線だけが停車する上中里駅に貼られていたポスターから。見た途端、「上中里駅自体が秘境駅じゃん!」と思ったものである。
上中里駅は武蔵野台地と東京低地の境にあり、ホームは低地、改札口は台地側にある。改札は1つしかなく、駅背後の東京低地側には4階分くらいの崖がある。地上に降りるためには新幹線の高架下を通る空中廊下を歩き、エレベーターか階段を利用する。しかも、少し歩くとぶつかるのが尾久客車操車場。南北に2200メートル以上、東西に250メートル近い細長い立入禁止の土地が広がっており、街は分断されている。これ以上、広がれないのである。
反対側、駅前から続く坂を上がる武蔵野台地側も線路沿いから本郷通りまでには滝野川公園、国立印刷局東京工場などがあり、こちらも住宅や商店などには使えない。つまり、上中里駅は周辺に人が住んだり、働いたりする場が少ない。
面白いのは車両基地の反対側に同じく線路名称上は東北線の尾久駅があり、ここも首都圏ではベスト(ワースト?)3に入る閑散駅だ。上中里駅は乗車人員8041人(*1)だが、尾久駅はそれよりは多いものの1万360人。駅南側は尾久客車操車場で占められており、ここでも街は広がれない。
【*1:数字は2019年度のJR東日本「各駅の乗車人員」の1日平均(合計)。コロナ前の数字である。】
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