上野「ABAB」24年6月閉店の衝撃 かつて「渋谷109」のライバル なぜ苦戦したのか:長浜淳之介のトレンドアンテナ(3/4 ページ)
東京・上野のファッションビル「ABAB(アブアブ)」上野店が2024年6月末で閉店する。かつては「渋谷109」の強烈なライバルとして勢いがあった。なぜ苦戦するようになったのか。
苦戦するファッションビル
アブアブは首都圏の有力駅にあるファッションビルなどに、ティーンズ向けの専門店をチェーン展開していた。しかし、現在は専門店は全部閉めてしまい、上野の本店のみが残っていた状況だった。
アブアブ赤札堂は、1990年には40店舗を展開していたが、現状は8店舗にまで縮小している。アブアブばかりでなく、赤札堂も統廃合が進んでいるが、衣料を扱うアブアブのほうが格段に厳しかったということだ。
同社は非上場であるが、官報に掲載された23年2月28日現在の決算公告によれば、8億6000万円の純損失を出していた。また、利益剰余金が4億8000万円のマイナスとなっており、業績の悪化からアブアブの閉店も致し方なかっただろう。
20年2月29日現在の決算公告では、5億9000万円の当期純損失となってはいたが、利益剰余金はまだ20億円のプラスだった。
ファッションビルの不振は、アブアブに限ったものではなく、「パルコ」も19年に宇都宮店、20年に熊本店、23年に津田沼店が次々に閉店。24年2月には新所沢店、25年2月には松本店の閉店も決まっている。熊本店のみは後継店として「ハブアット」という商業施設が新しくできたが、飲食が中心でファッションの要素は大きく後退している。
つまり、コロナ前からファッションビルは苦しくなっていたが、コロナ禍で拍車がかかり、アブアブ赤札堂としてもアブアブの経営を継続するのは困難と考えざるを得なかったのだ。
上野では1985年にオープンした「上野マルイ(丸井上野店)」が、若者のファッションを牽(けん)引していくことになるが、大きな柱が崩れた感は否めない。
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