禁煙の宿で注意された客が「低評価」 “逆ギレ口コミ”をどう防げばいいのか:スピン経済の歩き方(1/6 ページ)
山形県の「西屋」という老舗旅館で、ちょっとしたトラブルがあった。館内は「禁煙」なのに、50代の客がタバコをプカプカ吸っていたのだ。旅館が注意したところ、その客は口コミで反撃してきて……。
ちょっと前、サービス業の「現実」がよく分かるような騒動が起きた。
山形県に「湯滝の宿 西屋」(以下、西屋)という老舗旅館がある。白布温泉開湯後ほどなくした正和元年(西暦1312年)に創業したと伝えられているこの宿は、本館が築約100年以上、最古の湯滝風呂は築300年以上が経過している木造建築だ。
ゆえに館内は「完全禁煙」としている。というのも実はこの地域は、過去に大きな火災があり、西屋以外にも歴史のある建物が全焼してしまった。こうした悲劇を踏まえて、西屋は施設保全として「喫煙者お断り」を掲げている。
しかし昨年、ある50代男性の宿泊客が客室で喫煙をしてしまった。西屋からすれば、そういう客は利用しないでください、と以前からWebサイトなどでアナウンスをしているので「悪質な迷惑客」だ。しかも、木造の古い客室にはタバコのにおいが染み付いてしまうので、消臭作業のためにその部屋は稼働できないので実害もある。そこで女将は注意喚起を込めて、Twitterで以下のような投稿をした。
『あれほど「館内敷地内 完全禁煙」とHPにも予約ページにも客室にも掲示しているというのに、部屋で散々タバコを吸って臭いだけ残して帰っていかれたお客様。宿を何だと思ってる?分からいでか。その部屋は消臭作業の為数日は使えない。凍える空気の中掃除してくれたスタッフに心の中で詫びなされ!』
が、騒動はこれで終わらない。ほどなくして、その客が旅行予約サイトの口コミで西屋に低評価をつけたのである。評価は5段階で総合評価は2、最も低いのは「サービス」と「設備・アメニティ」でともに1だった。しかも、コメントとして「冬は雪がきしないと車出られません」と、西屋とは関係がないところにケチをつけていたのだ。
これが女将から怒られたことに対する「報復」かどうかは不明だが、メディアが「ルール破りの喫煙、逆恨みの低評価書き込み」(神戸新聞)、「ルール無視のタバコ客を告発したら...まさかの「逆ギレ口コミ」」(J-CASTニュース)と大きく報じたので、覚えている方も多いだろう。
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