禁煙の宿で注意された客が「低評価」 “逆ギレ口コミ”をどう防げばいいのか:スピン経済の歩き方(2/6 ページ)
山形県の「西屋」という老舗旅館で、ちょっとしたトラブルがあった。館内は「禁煙」なのに、50代の客がタバコをプカプカ吸っていたのだ。旅館が注意したところ、その客は口コミで反撃してきて……。
サービス業の「現実」
さて、ではこの騒動の一体どのあたりが、日本のサービス業の「現実」を示しているのかというと、「マナーの悪い客を注意したら口コミで報復される」という点だ。
飲食店や宿・ホテルなどをやっている人からすれば、「悪い口コミ」ほど恐ろしいものはないだろう。
今や客側は必ずといっていいほどスマホなどで口コミをチェックしてから、その店や宿・ホテルを選ぶ。皆さんも行こうと思っていた飲食店が軒並み低評価で、「味は最悪でした」「接客態度が悪い」などという口コミがあふれていたら、「やめといたほうがよさそうだ」となるだろう。
もちろん、自然にそうなってしまうのならそれは店や宿側に問題がある。しかし、中にはその店や宿の評判を落とそうという意図で書き込む悪い口コミもある。そこで最も多いのが「逆ギレ口コミ」だ。
西屋のケースのように、マナー違反やルール違反をした客が注意されて逆ギレをしたり、自分の要求が通らなかったことに対する腹いせとして悪い口コミをしたりするのだ。
客側からすればこれはストレス発散というか一種の「癒やし」になる。プライドを傷つけられて凹んだ気持ちが多少は回復して、調子にのった店や宿に「正義の鉄つい」を下したという爽快感もある。しかも、基本的に匿名なので、口汚くののしっても現実社会ではなんのリスクもない。
が、店や宿側からすれば、これは立派な「営業妨害」だ。先ほど申し上げたように今や口コミサイトや予約サイトの評価は、客足にダイレクトに影響する。そこに悪評を延々と書かれたら客足に響く。
しかも、やっかいなのは店や宿側はこの逆ギレ口コミに対して、基本的に泣き寝入りをするしかないことだ。
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