「おにぎりせんべい」の認知度は、なぜ“西高東低”なのか:経済の「雑学」(1/3 ページ)
大阪の人にとって「おにぎりせんべいはソウルフード」と思われているかもしれないが、日本は広いものである。認知度を見ると、関東は50%ほど、東北にいたっては10%にとどまっている。なぜこのような「差」が生まれているのか。製造元のマスヤを取材したところ……。
関西人にとってソウルフードがいくつかある。「お好み焼き」「たこ焼き」「串カツ」など。いずれも全国に広がっているが、ちょっと気になるというか、違うモノがある。菓子メーカーのマスヤが製造している「おにぎりせんべい」だ。
このような話をすると、関西人からは次のような突っ込みが入りそうである。「ちょ、ちょっと待ってや。そんな言い方されたら『おにぎりせんべい』が全国区でないみたいやん。大阪の人間なんて、ものごころついたころから食べてるで」と。
「おにぎりせんべい」をつくっているマスヤの本社は、三重県の伊勢市にある。関西の多くの人は「えっ、大阪やないの?」と思われたかもしれないが、それほど根付いている菓子なのだ。
それを裏付けるデータがある。同社が「おにぎりせんべい」の認知度調査(2011年10月〜12年9月)を実施したところ、大阪は100%。このほかにも、三重、愛知、兵庫なども100%だったが、気になるのは東日本である。
東京、神奈川、埼玉はいずれも50%ほど。東北を見ると、青森、秋田、山形、福島にいたっては10%ほどなのだ。関西の人にとってはちょっと信じられない数字かもしれないが、なぜ東日本で「おにぎりせんべい」が知られていないのか。
その謎を解く手がかりとして、歴史を簡単に振り返ろう。マスヤが創業したのは、1965年のこと。当時、スーパーマーケットが増えていて、「全国で買ってもらえる商品をつくろう」といった話になった。そこで目をつけたのが「せんべい」だったのだ。
当時、せんべいの形といえば、四角か丸ばかり。ほかにはない斬新なモノをつくろうと考えて、三角形を採用した。また、せんべいの主流はしょうゆやザラメだったのに対し、マスヤは「だし」のうまみにこだわった。しょうゆタレで味付けをして、焼き海苔をふりかけて。
ちなみに、ネーミングの由来は三角形から連想される「おにぎり」と「せんべい」を掛け合わせたもの。また、全国展開を華々しく演出できるように、パッケージは歌舞伎の緞帳(どんちょう)を採用した。
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