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消費者庁の「不当処分」疑惑 優良企業はなぜ「1年間の一部業務停止」をくらったのか(1/4 ページ)
昨今、順法意識の低い企業を取り締まるはずの消費者庁による、ずさんな処分が物議を醸している。消費者保護の現場で今何が起きているのか、消費者庁による「不当処分」被害に遭ってしまった企業の実録をレポートする。
法律順守の意識が低い事業者を取り締まり、消費者の安心と安全を守る役割を担う消費者庁。しかし昨今、消費者庁のずさんな処分が物議を醸している。
消費者保護の現場で今何が起きているのか、消費者庁による「不当処分」被害に遭ってしまった企業の実録をレポートする。
消費者庁は2009年、内閣府の外局として発足した行政機関だ。国民生活センターを所管するとともに全国の消費生活センターなどと連携し、消費者行政の中核的な実施機関としての役割を担っている。
同庁では偽装表示や誇大広告など、商品やサービスについての不当な表示などを規制する「景品表示法(景表法)」、 訪問販売、通信販売、連鎖販売取引(いわゆるマルチ商法)など、トラブルになりやすい取引を対象に、事業者の不当な勧誘行為を取り締まる「特定商取引法(特商法)」などを取り扱っている。
以下のような事件は、しばしば報道されており、読者諸氏にもなじみ深いところであろう。
- 食品の産地偽装(景表法違反)
- 根拠のないダイエット効果を掲げた広告(景表法違反)
- 通販でお試しサンプルを申し込んだら自動的に継続購入になっていた(特商法違反)
- 稼げる在宅ワークを紹介するとして高額情報商材を売りつけられた(特商法違反)
筆者はこれまで、違法行為を繰り返す悪質業者の情報を消費者庁に提供し、行政処分を促すなどの連携をとってきたこともあり、消費者庁の働きには万全の信頼を置いていた。
しかし直近の数年間において、景表法や特商法の執行件数が増加してきたことに比例して、明らかに調査不備と思われる一方的な処分や、個別の事情を無視するかのような一斉処分、処分後の処分撤回など、ずさんな対応が目立っている。
今は優良企業なのに……消費者庁のずさんな対応とは?
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