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文章を書くうえで大切なことは? 「伝える」と「伝わる」の違い伝えたいこと(2/2 ページ)

「伝える」と「伝わる」について、どのような違いがあるのか。

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目指すは納得、あわよくば共感

 一般的には、この「共感」を得ることが、文章を書いたり、話をしたりする際の目標とされることが多いようです。

 ただ、実際のところでいえば、「共感」を目指すのは、そう簡単なことではありません。

 なぜなら「共感」は、多くの場合、伝え手の考えや思い、気持ちに、その人(受け手)の具体的な経験がひもづいて起こるからです。簡単にいうと、「ああ、その気持ち、自分もあのとき同じようなことを経験したから分かるよ」という実感こそが共感です。

 なにかを伝えるときに、受け手の境遇や人生について、ある程度のところまでは想像することができます。


(提供:ゲッティイメージズ)

 でも、受け手が「自分と同じだ」と感じるような具体的な経験をいい当てるのは容易でないケースも多い。そのぶん、「共感」は目指しづらいのです。

 こうした事情を踏まえてぼくは、文章などでなにかを伝えようとする人には、「目指すのは納得、あわよくば共感」という目標を掲げることをすすめています。

 ……と、話が横道にそれましたが、この3つの段階のうち、「理解」は単純な情報伝達の話であり、受け手の内面に影響を及ぼすものではありません。

 内面になにかしらの影響をもたらすのは、「納得」と、その次の段階である「共感」です。

 「理解したけれど、納得していない」という状態では、「伝わった」とはいえない。

 「理解したし、納得もした」「共感した」となってはじめて「伝わった」といえる。

 文章を含め、さまざまな伝えるコミュニケーションが目指すのは「納得以上」を生みだすことなのです。

【まとめ】

「伝わる」とは、納得以上を生みだすこと。

この記事は、『「伝え方――伝えたいことを、伝えてはいけない。』(松永光弘/クロスメディア・パブリッシング)に掲載された内容に、編集を加えて転載したものです。


松永光弘(まつなが・みつひろ) 編集家

 1971年、大阪生まれ。これまで20年あまりにわたって、コミュニケーションやクリエイティブに関する書籍を企画・編集。クリエイティブディレクターの水野学氏や杉山恒太郎氏、伊藤直樹氏、放送作家の小山薫堂氏、コピーライターの眞木準氏、谷山雅計氏など、日本を代表するクリエイターたちの思想やものの考え方を世に伝えてきた。自著に『「アタマのやわらかさ」の原理。クリエイティブな人たちは実は編集している』(インプレス、編著に『ささるアイディア。なぜ彼らは「新しい答え」を思いつけるのか』(誠文堂新光社)がある。


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