「朝食無料」から10年、伊藤忠の社員は何を食べているのか 働き方改革の今:あの話題は今(3/3 ページ)
伊藤忠商事は2013年、朝食を社員に無料で提供し始めた。働き方改革の一環で、朝型勤務を推奨することが狙い。実際にどんなものが提供されているのか。
どんな工夫をしているのか
朝食無料配布の取り組みを始めてから現在までにどういったことを改善しているのだろうか。
広報担当者は「社員が商品に飽きないように工夫しています」と説明する。具体的には、ファミマの売れ筋や話題の商品を日替わりで展開しているという。また、健康経営の観点から「高血圧」といったテーマを毎月設定。テーマに即した産業医推奨の商品を展開している。筆者が取材したときは「カルシウム月間」と題して、割けるチーズ、スーパー大麦入り野沢菜ちりめんおにぎり、総菜(豆腐と枝豆のひじき和え)が陳列されていた。
どういった商品が特に人気なのか。取材日前日でいうと、特定保健用食品のお茶は午前7時10分、乳酸菌の入った健康系ドリンクは午前7時30分になくなったという。全体的に健康意識の高い社員が多いようだ。また、サンドイッチも比較的早くなくなる商品だ。100円台のおにぎりと比べて、ミックスサンドは290円と比較的価格が高い。同じ1品としてカウントされるなら、お得な方を選ぼうという意識が働いているかもしれない。
本社ビルの無料朝食を利用しているのは、約1000人の伊藤忠社員と約400人のグループ会社社員だ。社員からは「商品のラインアップが充実し、無料でもあるので、早朝に出社するモチベーションに寄与している」「朝は家族の支度などをサポートしているため、自身の朝食をとることが難しい。そのため、会社で朝食をとれるのはありがたい」といった声が寄せられているという。
伊藤忠は働き方改革を進めるため、2010年以降に社内託児所を設置したり、無駄な会議・資料の削減に取り組んだりしている。その流れで13年に「朝型勤務制度」を導入した。この制度は、午後8〜10時の勤務を原則禁止とし、業務が残ってしまった場合は翌日朝に片付けるという考えに基づいている。午前5〜8時を朝型勤務推奨時間としており、午前7時50分以前に勤務を開始すると、深夜勤務と同様の割増賃金(25%)を支給している。
朝型勤務にシフトさせるため、朝食の提供方法を工夫してきた伊藤忠。今後、どのような施策を打ち出すのだろうか。
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