ビッグモーター”事件発覚”から1カ月 不正が起きない組織は作れるか?:河合薫の「社会を蝕む“ジジイの壁”」(1/3 ページ)
ビッグモーターの”事件発覚”から1カ月。事件そのものはもちろん「不正が起きないためにはどうしたらいいのか?」という観点に注目が集まっている。不正が起きない組織を目指した改革の失敗事例や、心理的安全性に対する誤解など、一筋縄ではいかない組織改革について考察する。
ビッグモーターの“事件発覚”から一月以上がたちましたが、今なお世間の関心は尽きません。私自身、前回の記事で私見を述べましたが、他媒体の連載に加え、テレビやラジオなどからの取材がいまだに続いている事態に、少々驚いている次第です。
しかも、事件発覚当初の「ビッグモーター事件について意見がほしい」というオーダーが「自分の会社で不正が起きないためにはどうしたらいいのか?」に変わってきている点が実に興味深い。
ある人は「結局、不正に手を染めるかどうかって、上司次第ってことですよね?」と上司との関係性を憂い、ある人は「高いノルマを課せられるから頑張れるっていう面もあるから、ノルマだけが悪いってわけじゃないですよね?」と訴え、ある人は「やっぱりトップ次第ってことでしょ? 自分たちにできることって何かあるんでしょうか?」とアドバイスを求めました。
一方で「上にノーと言えない組織風土が悪いっていうけど、フツー言えないでしょ?」「しょせんサラリーマンだし、上位下達の体育会系の組織の方が強いし」といった意見もちらほら。
そんな中、不正の起きない組織を作るために期待されているキーワードの一つが「心理的安全性」です。数年前から人気の言葉ですが「うちの会社の問題」として心理的安全性にまつわる改革の難しさを話してくれたのが、某大手企業の課長職のAさん(40代)です。
不正発覚後、やったつもりの「心理的安全性改革」の結果は?
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