電帳法×インボイス制度“最終点検” 紙保存してもいい「相当な理由」って? 袖山税理士に聞く
2022年1月に施行されてから、宥恕(ゆうじょ)措置や保存要件の見直しなど現在まで二転三転してきた電子帳簿保存法(以下、電帳法)。23年10月にはインボイス制度の開始も予定されており、今あらためて対応状況を確認したいタイミングになった。オンラインイベントに登壇した袖山税理士の講演から、電帳法とインボイス制度の最新事情を探る。
2022年1月に施行されてから、宥恕(ゆうじょ)措置や保存要件の見直しなど現在まで二転三転してきた電子帳簿保存法(以下、電帳法)。23年10月にはインボイス制度の開始も予定されており、今あらためて対応状況を確認したいタイミングになった。
「出力書面による帳票保存」の容認 相当な理由の中身は――
令和5年度の電帳法改正で大きな注目を集めた見直し内容といえば「出力書面による帳票保存」の容認だ。電帳法で最もインパクトがあった電子取引の義務化――電子で受け取った帳票は電子で保存しなければならない、紙保存は認めない――を覆すような内容に混乱した人もいたのではないだろうか。
ただしこれは「相当の理由」があってはじめて適用されるものであり、電子取引の義務化そのものが取り消されたわけではない。では相当の理由とは何か? 23年8月22日(火)に開幕したオンラインイベント「Digital Business Days -SaaS EXPO- 2023 Summer」の税務研究会コラボ企画に登壇した袖山喜久造氏(SKJ総合税理士事務所 SKJコンサルティング合同会社 所長 税理士 業務執行社員)はこう話す。
「相当な理由とは『満たすべき要件に従い電子保存するためのシステム、ワークフローの整備が間に合わない』などが該当する。通常、税法の宥恕は納税者の責に帰さない(責められるべき理由や落ち度がない)ような理由があり、かつ承認された場合に限られるものだ。しかし今回は『自己の責めに帰さないとは言い難いような事情も含めて』相当な理由と認められる。
例えばシステムを導入するための費用がない、調達ができなかった、対応を検討する人材がいない――このような場合も相当な理由に該当することになる」(袖山氏)
ただし、この宥恕措置が適用されるのは一定期間だけ。後日システム対応ができた、対応できる人材が確保できた場合、相当な理由は認められなくなる。「『対応したくない』という意見は理由にはならない。これは国税庁の通達にも書かれている」(袖山氏)ため、全企業が電子取引へ対応しなければならない状況は変わらない。
また、令和3年度改正前は出力書面による保存だけでよかったが、令和5年度の改正では出力書面による保存に加えてデータの保存も必要になった。
「データ保存をする際は、ダウンロードの求めに応じなければならない。その際、真実性および検索機能の確保要件は不要だが、調査官の求めに応じて速やかに提出できるような保存環境は必要だ」(袖山氏)
袖山氏は講演で、このような法令要件の整理に加えて「経理業務のDXによる業務効率化」「ガバナンス強化につながる業務プロセス構築」といったテーマを解説する。「法令対応だけを見ていると経理業務の手間は増えがちである」と語り、法令改正は納税者の電子化を促進するように仕組みが出来上がっている点を強調。電帳法とインボイス制度を基点とした経理業務の変革を推奨する。
全講演内容は、23年8月22日(火)〜9月24日(日)にかけてDigital Business Days -SaaS EXPO- 2023 Summerで視聴可能だ。迫る電帳法とインボイス制度対応の“最終点検”に、ぜひ視聴していただきたい。
袖山税理士の講演を無料でフル視聴する
Digital Business Days -SaaS EXPO- 2023 Summerは、ビジネスパーソンが「向くべき方向」と「使うべき武器」を見つけるためのオンライン展示会です。
【開催期間】2023年8月22日(火)〜9月24日(日)
【視聴】無料
【視聴方法】こちらから登録の上、期間中にご視聴ください。
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