現在のPS5の売れ行きは? ソニーのゲーム事業を決算から考える(2/2 ページ)
ソニーグループの2024年3月期第1四半期(4〜6月)決算が発表された。全体では増収減益、ゲーム事業は、いつも通り全体の業績をけん引した。
四半期のPS5の出荷数 どう考える?
そして気になるPS5の出荷数ですが、一言で言えば判断に困る数字で、メディア泣かせです。
第1四半期の世界出荷数は330万台。前年同期比の240万台と比べると大幅増ですが、これはPS5の出荷に苦しんだ時期。前世代ゲーム機の「PS4」で、同じ発売4年目、第1四半期の出荷数は350万台なので、そこと比べると下回ることになります。
まあ、2023年度3月期の第4四半期(1〜3月)の出荷数は630万台と爆発的に増えました。この時期はPS5の品不足が解消して店頭に並び、飛ぶように売れたので、その反動が幾分出たのかもしれません。良くも悪くも書けてしまう内容です。
そう考えると、現時点でPS5の売れ行きについての判断は、第2四半期(7〜9月)や、最大商戦の第3四半期(10〜12月)を見てから……となりそうです。
さらに言えば、ゲームファンの間でうわさになっているPS5の強化版の存在も気になります。なぜこうしたうわさや予測が出るのかと言えば、PS4の強化版「PS4 Pro」は、PS4の発売から4年目の年末商戦に発売しているから「そろそろ出るかも……」というわけです。
PS5の強化版が仮に出れば、さらに売れるでしょう。しかし、普通に売り出せば、再び転売のターゲットになり、ゲームファンから批判される可能性は極めて高いといえます。売れる商品があるとはいえ、先々を考えるとなかなか悩ましいのです。
書き手:河村 鳴紘(かわむら・めいこう)
ゲーム、アニメ、マンガなどを主戦場にするフリーランスのサブカルライター。ヤフーオーサー、マンガ大賞選考員。メディア所属時には、決算会見や各発表会に参加し、独自記事なども執筆。20年以上ゲーム業界を中心に取材している。2020年5月、「『ドラゴンクエスト』大ヒット連発なぜ? 30年前の伝説の熱狂」でヤフーニュース個人の記事を顕彰するMVAを受賞した。「文春オンライン」や「Number Web」(ともに文藝春秋社)などでも記事を執筆。静岡放送などでラジオに出演することも。
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