職場の若い人は何を考えているの? Z世代とうまく付き合う方法:仕事に対する価値観(5/5 ページ)
「Z世代」という言葉をよく耳にするようになった。X・Y世代と違って、若い人たちはどのような傾向があるのか。仕事の価値観などを解説する。
TikTokで踊る社長
昨今のTikTokの台頭により、社員や社長が踊る動画がバズったり、若手がベテランをいじるような動画が流行したりと大きな変化があった。企業ブランディングや広報を主とする私自身、このことに初めは驚き、「ブランディング棄損になるのではないか?」とヒヤヒヤしたものである。しかし、もはやこの概念すら「古いのではないか?」と思い直した。
というのも、実際に、踊る社長動画がバズって、新卒採用がうまくいっている事実がある以上、会社としてこのようなソーシャルメディアの使い方も一つの手法なのだろう。そもそも、会社が新卒採用を実現するためには、いわゆるZ世代が見ているSNSを活用し、認知してもらうことが必要不可欠だ。それなくして、Z世代の採用はかなわないからだ。
したがって、Z世代に歩み寄りながらも、接点を持ったあとに会社のビジョンや採用にかける思いをきちんと伝え、採用につなげることが重要なのである。世代間にギャップがあることを前提に、凝り固まった思想で企業を運営していると、取り残されてしまうだろう。
育った環境が異なる各世代間では、価値観にも違いがある。SNSを中心に世界中の多様な価値観に触れているZ世代は、多様性や個性、自分らしさを重視する傾向にある。
それに対し、X・Y世代は、高度経済成長期やバブルにかけての時代を経験、もしくは見聞きしており、物質的な豊かさや成功を重視する傾向がある。その違いを尊重しながら、相手へ歩み寄ることが大事である。
大人に成長する過程でデジタルテクノロジーが出現したX・Y世代とは違い、物心つく前からデジタルテクノロジーが目の前にあり、当たり前の環境で成長しているZ世代は、これまでにないほどの高いテクノロジーに対する理解力を持つデジタルネイティブである。
このような背景から、Z世代はネットやSNSを通じて、多様な情報を瞬時に収集することができ、柔軟な思考力や創造力を身につけている。これからは、こうした世代間の特徴を理解した上で、組織内のコミュニケーションの手段や企業のマーケティング施策を展開することが求められるだろう。
著者プロフィール:小澤美佳
2008年に株式会社リクルートへ入社。10年間、HR一筋。中途採用領域の代理店営業、営業マネージャーを経て、リクナビ副編集長として数多くの大学で、キャリア・就職支援の講演を実施。採用、評価、育成、組織風土醸成など幅広くHR業務に従事。 2018年、中米ベリーズへ移住し、現地で観光業の会社を起業。 2019年、ニットに入社し、営業・人事を経験後、広報部署の立ち上げ。2021年はテレワーク先駆者百選の総務大臣賞やTOKYOテレワークアワードなど数々の受賞を実現。オンラインファシリテーターとしても尽力。2022年には産休・育休を取得し、8月に出産。2023年4月に復帰。
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