「そごう・西武」全株式、2200億円で売却 セブン&アイHD 池袋本店は通常営業
セブン&アイHDが子会社そごう・西武の全株式を米投資ファンド「フォートレス」に譲渡する。売却額は当初の2500億円から300億円減額し、2200億円となる。事業売却に伴い、そごう・西武への900億円余りの債権も放棄する。
セブン&アイ・ホールディングス(セブン&アイHD)は9月1日、子会社そごう・西武の全株式を米投資ファンドFortress Investment Group LLC(フォートレス)に譲渡する。8月31日に開催した取締役会で決定した。売却額は当初の2500億円から300億円減額し、2200億円。事業売却に伴い、そごう・西武への900億円余りの債権も放棄する。
セブン&アイは2006年6月にミレニアムリテイリング(現そごう・西武)を完全子会社化。だが、百貨店業界の事業環境の悪化もあり、そごう・西武は2023年2月期決算まで4期連続の最終赤字を計上していた。グループ事業ごとに効率性・成長性を考慮した末、「事業価値の最大化は困難」と判断。22年11月にフォートレスへの事業売却を発表した。
ただ、そごう・西武労働組合が「雇用維持と事業継続に確証が持てない」と反発し、売却が延期に。セブン&アイも労組と協議を重ねていたが「公表から9カ月が経過し、譲渡後に期待されていたそごう・西武の成長投資も実行出来ない状況が続いている。現状のまま事業の立て直しができない状況がさらに続くことは企業価値や従業員の雇用の観点からも看過できない」とし、フォートレス側と契約を締結した。
親会社の経営陣の対応に対し、そごう・西武労組は8月31日、国内百貨店としては61年ぶりとなるストライキを決行。池袋本店は全館臨時休館となった。
セブン&アイの子会社セブン&アイ・フィナンシャルセンター(7FC)は、そごう・西武に対して1659億円の貸付金があるが、事業売却で916億円の債権を放棄。最終的な株式譲渡関連損失は411億円となる見通しだ。セブン&アイの業績への影響は「現在精査中。今後、開示すべき事項が発生した場合には速やかにお知らせする」としている。
労組側が求める事業継続と雇用維持については「団体交渉・協議を継続し、適切な範囲で支援・協力していく」との立場を示した。
ストライキの際、そごう・西武は池袋本店の9月1日の営業について「一部、通常の営業と異なる売り場がある可能性がある」としていたが、同社広報によると「全館が通常営業中」という。
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